研究実績の概要 |
ヒト型構造体の自己保護の解明に向けて,等身大ダミーロボットを作成を推進した.本年度も継続して,ダミーロボットに有効なアクチュエータと期待される,釣糸人工筋肉に関して調査を行った.特に,断面形状が出力特性に寄与する影響について検証した.使用した釣糸は,テニスガットに使用される,ナイロン6,6糸である.それぞれ,細糸を束ね外側をコーティングした単編成タイプ,複数の単編成タイプで構成された複編成タイプ,ナイロン外周にスパイラル状の溝が掘った外溝タイプを検証した.検証の結果,収縮力に関して,単編成,複編成,外溝タイプの順で増加する傾向が見られた.また応答速度に関しては,外溝タイプ,複編成,単編成の順で増加する傾向が見られた.これは断面におけるナイロン密度に起因すると考えられる.
27年度には,釣糸人工筋肉の課題として挙げられていた応答速度を向上する提案がなされた.これはナイロン6,6アクチュエータを銀コーティングすることで導電性を生み出し,ジュール熱による加熱で収縮させるという提案である.そこで導電糸アクチュエータの制作およびそれを用いた骨格型ロボットの設計を行った.導電糸アクチュエータの制作は,市販の導電糸を使用した.次にダミーロボットの骨格となる人体骨格モデルへの実装に向けて,簡易的な骨格機構である上腕機構および脊椎機構の作成を行った.その結果,作成した人工筋は出力の面で提案されているものと同等であるが,収縮力の面で劣っている事が明らかとなった.今後は成分調整を行う事で性能の改善が期待される.
ダミーロボットの作成と平行して,人体骨格モデルシミュレーション,OpenSimを用いた転倒モデルの作成および転倒防止用の歩行支援器具の開発を行った.現状では,歩行時の筋骨格の動きを再現しており,今後のダミーロボットの開発状況に応じて,シミュレーションによる制御則の開発などを行う予定である.
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