本研究は、人が観賞した際に「自然である」と感じられるCG人物の視線動作アニメーションの生成手法を提案するものである. ユーザが自分の意図した視線動作アニメーションを制作するためには,視線を向ける動作の挙動を決定するための回転量や時間に関する複数のパラメータの理解が必要になる.加えて試行錯誤による調整が必要となるため,初心者や経験の少ないユーザにとっては自身が適切であると感じる動作を制作することが難しい.そのため,複雑なパラメータを手動で直接設定するのではなく,映像に対する主観的な評価に基づいてユーザの嗜好を反映するパラメータを設定する対話型進化計算手法を用いたCGキャラクタの視線動作アニメーションの制作支援手法を提案している. 本年度は昨年度に引き続き、感性評価に基づいた視線動作アニメーションの最適化システムへの(1)注視点の選択問題を含めた視線動作アニメーションの最適化手法、および(2)任意のアニメーションシーンの演出に影響が大きな制御パラメータの適応的な抽出と利用による最適化手法の検討を行った. (1)では,本システムが対象とする初心者ユーザを対象として,注視点の選択問題を含めた視線動作アニメーションの最適化手法の評価実験を実施した.その結果,通常の制作手法と比較して同程度以上の制作結果を容易に製作できることを確認した.また,過去事例における制作結果を最適化対象となる個体群に利用する機能の実装を行った. (2)では,制作対象のカメラ配置情報を含む任意のアニメーションシーンにおいて制御対象となるキャラクタの詳細度に応じて視線動作アニメーションを表現する重要なパラメータを推定,抽出し,抽出後の削減されたパラメータを用いた最適化手法を提案した.カメラからの距離や角度,遮蔽の有無により,制作結果に反映されるパラメータを自動で抽出することで,制作結果に対する評価が向上する傾向を確認した.
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