本研究では,選択的注意を発現させるための情報処理メカニズムを解明するとともに,嗅覚系モデルに基づく匂いに対する類似度感覚予測の開発を目的としている.まず,マウス嗅球表面に分布する糸球体層の神経活動パターン予測モデルを提案し,予測活動パターンと計測活動パターンの間に高い相関(平均r=0.75, p<0.01)を得た.そして,嗅覚系における選択的注意が実現可能な神経回路モデルを構築し,複数の分子で構成された匂いが対で提示されたときのマウスの識別率を予測することに成功した.以上より,神経活動を用いた匂い感覚の客観的評価の可能性を見出した.
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