研究課題/領域番号 |
26730151
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
寺師 玄記 北里大学, 薬学部, 講師 (40383658)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | タンパク質立体構造 / 構造アライメント / アミノ酸残基 / 残基間ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、タンパク質間の構造類似性をアミノ酸残基間のネットワーク類似性から検出する方法の開発である。本研究より、従来検出することのできなかったタンパク質構造間の類似性を高精度に検出することが可能となるとなる。さらに、タンパク質構造内のアミノ酸残基の対応関係を構造アライメントとして計算することも可能となる。特に構造変化が大きく起こるタンパク質構造であっても、構造類似性と構造アライメントを高精度に検出できるという特徴を持つ。 本研究代表者は平成26年度における研究計画の下、以下の内容を達成した。1.本研究の理論を実装したコンピュータープログラムの開発:一般的なコンピューターでも動作するC言語で記述されたプログラムの開発を行った。本研究で開発されたプログラムは論文出版時に一般に公開する予定である。2.本研究の検証を行う為の評価系の開発:パラメーターの最適化と精度を検証するための大規模な評価系の準備を行った。構築された評価系に基づき、プログラムの最適化計算を実行中である。3.平成26年度における研究結果の学会発表:2014年年会 JSBi2014・第3回生命医薬情報学連合大会においてポスター発表を行った。さらに第42回構造活性相関シンポジウムにおいて口頭発表を行った。この発表により優秀発表賞(SAR Presentation Award)を受賞した。4.平成26年度における研究結果についての論文執筆および投稿:本研究で得られたデータについて論文を執筆し、欧文雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画では、理論の実装・プログラミングを行う予定であった。研究実施計画に基づき予定されていた3つ項目について記述する。 1.タンパク質残基間根とワーク計算:タンパク質構造を三次元ポリゴンで表現し、アミノ酸残基間のネットワークを高速に計算するプログラムの開発を行った。 2.アミノ酸残基間ネットワークに基づく構造アライメント:本研究の理論を実装したプログラムの開発を行った。研究開始当初に比べ大幅に高速化し、かつ高精度化されたプログラムが開発された。 3.構造アライメントの精度評価:大規模な検証系を構築し、プログラムの精度評価が可能となった。平成26年度はこの検証系からパラメーターの最適化の実施も行われた。 当初の計画以上に行われた研究内容:一般的に使用されている構造アライメントプログラムとの比較計算を行った。平成26年度に得られたデータに基づき、学会発表、および論文執筆を行った。論文は現在欧文雑誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に基づき、以下の3点を主に行う予定である。 1.理論の実装・プログラミング:平成26年度に行われたパラメーターの最適化をさらに進める予定である。また、現在の手法をさらに発展させたアルゴリズムを加え、最適化・検証を行う予定である。 2.比較検証:大規模検証データを使い、一般的に使用されている構造アライメントプログラムとの比較計算をさらに進める予定である。この内容は平成26年度にすでに一部が実行されている。 3.平成26年度に投稿した論文の校正作業と追加データの計算
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次年度使用額が生じた理由 |
アルゴリズムの実装と評価系の整備が平成26年度の主な実施内容となっており、大規模計算クラスタ構築が困難となった。しかしながら、これらの研究により計算時間の大幅な高速化と精度向上が達成された。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の研究発表として論文投稿費用および英文校正費用が必要である。さらに国際学会での研究発表を行う予定である。 また、計算クラスタの構築を行い、より大規模な並列計算による最適化を行う予定である。
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