本研究の目的である教師の適切な学級経営支援のために、出欠管理システムの打刻差データより推定される学生の友人ネットワークの推移を分析することで、学生の良好な友人関係と学習効果を目指すシステムを構築した。 本研究にて提案してきた友人生成のためのグループ編成法を、さらに協同学習効果を目指したものにも適用できるように改良を行った。具体的には、友人関係以外の様々な属性情報(性別、所属、性格、能力等)に対して多様性を最大化させるグループ分割法とした。グループ構成員に多様性のあるグループ編成は協同学習における学習効果を上昇させるという調査報告より、本手法を実際の協同学習に適用することで、友人関係生成とさらに協同学習効果を高める成果が期待できる。 また、本研究にて提案してきた友人関係シミュレータを、グループ分割編成法の効果の確認を目的としてさらに改良を行った。具体的には、これまでの友人関係シミュレータでは、全構成員の中で友人の友人までの属性情報を認識できるようにしていたが、グループという概念を導入し、グループ内とグループ外では、友人選択の優先順位に差をつけるように改良した。どの程度グループによる優先順位を考慮するかについては、実際の友人関係ネットワークと比較することで実現した。グループ分けを行った実データに見られる友人関係生成の現象のシミュレートができたことで、提案したグループ編成法の効果を事前にシミュレーションすることが可能となった。
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