本研究の目的は、TwitterなどのSNSが政治的議論の場としてどのように利用されているのか、政治的争点に対する個人の情報発信を規定する要因と、心理的態度の変容をもたらす要因を明らかにすることである。本研究では以下3つの課題を実施した。
課題1においては、多数派同調の認知が発言に与える影響について「沈黙の螺旋理論」を検証し、既存理論のTwitterへの適用可能性を議論した。具体的には、Twitterユーザを対象とするオンライン調査を行い、多数派同調と発言との間に関連性がみられることを明らかにした。課題2においては、課題1の結果をふまえ情報発信を規定する要因をTwitterでの情報環境(ネットワーク構造)と心理的態度(意見風土認知、先有傾向)を合わせて明らかにした。具体的には、Twitter上での政治的争点に対する発言は、多数派認知、および情報環境(フレンドの同質性、クラスタ係数)が規定要因となっていることが明らかになった。課題3では、2回の質問紙調査の結果から、Twitter上での多数派認知をもたらす意見分布認知の規定要因として、ユーザ周囲のフレンドの発言が影響を与えていることを明らかにした。
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