本研究では,サービスの生産性をエネルギ消費の観点から捉え,単位エネルギ消費あたりに生産する価値最大化問題と定義する.サービス提供者および設備の仕事単位のエネルギ消費パターンをエネルギブロックとしてモデル化し,それらの組み合わせを考慮したエネルギ最適化モデルを構築する.特性解析により価値・生産性・消費エネルギの関係を明らかにし,ある条件下におけるエネルギ生産性目標値を導く.価値を下げずに生産性を向上し(短期的改善),生産性を下げずに付加価値を創出する(中長期的改善)のためのエネルギ管理手法を提案する.さらに,環境変動に柔軟な生産システムについて,計算機シミュレーションを用いた構成論的アプローチによって明らかにすることを目指す.
本年度は,昨年度に継続し計算機実験によるモデルの検証を進めた.また,昨年度モデルを拡張した人を介するサービスシステムにおける従業員満足と顧客満足の観点を加えたモデルの改善・拡張,さらに被験者実験アプローチによるモデルの検証を行った.研究協力者の協力を得て,サービス提供現場従業員および管理者,経営者と議論を行い,提案手法の実用化と,サービス提供現場における生産プロセス改善支援ツールや教育支援ツールとして提案手法を用いることの可能性検討,有効性確認,および課題の抽出を行った.研究の総括を行うとともに,残された問題点の洗い出しとその解決方法の模索,研究成果の公表を行った.
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