研究課題/領域番号 |
26730175
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
梅津 孝信 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (80432954)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習支援システム / 学習コンテンツ開発支援 / 学習用ゲーム / オーサリング |
研究実績の概要 |
本応募研究では、自動生成された学習用ゲームに、学習支援機能を自動で追加実装するシステムの実現を目指している。当該年度では、以下の三点を実現した。 (1)学習者の得意・苦手な問題や分野の同定方法の考案: 生成される学習用ゲームでは、学習者が正しく問題を解けたかどうかは直接的には判別不可能である。そこで、確度は落ちるが、ゲームの展開から理解状況を予想する方法を考案した。確度の問題に関してはサンプル数を増やすことで解決した。 前年度の研究で、生成される学習用ゲームでは「学習者がカードを選択し、そのカードに書かれた解答でゲームの展開が変わる」場合に学習機会が発生することがわかっている。この際に、ゲームが有利に展開した場合は正答、そうでない場合は誤答と判断し、その正誤履歴を元に学習者の理解状況を構築する方法を考案した。 (2)生成元ゲームに応じた同定機能の自動生成: 前述した学習状況同定機能はゲームによって実装方法が異なるため、学習用ゲームを自動生成する際に、入力されたルールを診断して、適切な方法で同定機能を構築し、生成する学習用ゲームへと自動付与するよう学習用ゲーム自動生成システムを拡張した。 (3)理解状況に応じた出題制御と解説の提示機能の自動生成: 学習状況同定機能の利用方法のひとつとして、苦手な問題を優先して出題したり、苦手な分野を同定して対応する解説を提示したりする機能を、生成する学習用ゲームへと自動付与するよう学習用ゲーム自動生成システムを拡張した。 以上の成果により、自動生成されたものでありながら、学習者個々人の学習状況を把握可能な学習用ゲーム環境が実現された。応用のひとつとして出題制御と解説提示の機能の自動構築を実現したが、この成果を下地とすれば、理解状況に応じたさまざまな支援が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画として、平成27年度までに、1.学習者の理解状況を表現するモデルの考案、2.理解状況に応じた学習支援方法の考案、3.学習活動の種類と発生タイミング分析手法の確立、を達成する計画としていた。また、平成28年度に、4.学習支援機能の自動生成方法の確立、5.自動生成システムの実践的評価、を計画していた。 現在、2と3については一部課題を残しているものの、1から4までが実現できている。これは当初の計画以上に進展しているといえる。しかしながらそれらの成果発表に関しては行えておらず、遅れている。 以上より全体の進捗状況として、おおむね順調に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は最終年度であるため、残った課題の解決と、成果の実践評価、成果の発表を目指す。 残った課題だが、これまでの研究で、理解状況の同定精度と、同定機能を自動生成する場合の入力に問題を残している。しかし支援の自動生成を実現するための最低限は達成しているため、他作業の進捗状況を考慮しつつ研究を行う。 実践評価として、本研究課題の成果を三つに分け、理解状況同定精度の評価、支援機能による学習効果の評価、支援機能の自動生成能力の評価、の三項目を調査する。可能であれば実際の教育現場にて実践利用し、評価を行う。 また、これまでの研究で研究課題は最低限度達成したと判断しているが、成果として未発表であるため、今後は積極的に発表を行っていく。
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