研究課題/領域番号 |
26730177
|
研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
宮崎 誠 畿央大学, 教育学部, 助教 (60613065)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | eポートフォリオ / eラーニング / ルーブリック / オープンソース / FD |
研究実績の概要 |
平成27年度は,研究実施計画に基づき開発フェーズと位置づけ,実際にルーブリックによる自己評価および授業評価を実現するシステムを実験サーバ上に開発した.開発には,ラピッドプロトタイピングモデルを採用し,形成的評価のため小規模クラスによる実証実験を行った. まず,小規模クラスを想定し,学生自身で学習到達度自己評価を行うためのルーブリック機能設計,学生全員の自己評価の得点に基づいて教員に授業改善ポイントを提示する授業レビュー機能設計およびプログラム開発を行った.開発については,平成26年度の外部仕様書を元に機能の実装した.プログラム部分およびUI部分でUXに関わるWebデザインについては,外注し,HTML5のbootstrapベースのものに対応し,ドキュメントも整備した. 次に,小規模クラスでの実証実験の準備として,先行研究を調査し,情報リテラシー科目における学習目標を想定した評価基準を参考にルーブリックを作成した. 実証実験では開発したシステムを情報リテラシー科目の2クラス(78名)において実際に利用し,開発したシステムの機能要件に基づいて,学生への特別なサポートなくルーブリックによる自己評価活動が可能なことを確認した.本プログラムは,OSSであるMaharaをベースにしており,最新のリリースでは,デザインがbootstrap対応となったため,今年度の開発としてWebデザインの対応を行った. 研究成果の公表のため,本研究によるMaharaルーブリックプラグインをオープンソースとして開発したことにより,他大学からの問い合わせにも対応中である.引き続き,積極的に協力していく予定である.また,本成果について,Mahara Hui 2015(ニュージーランド)やAAEEBLA 2015にてMaharaコミュニティの開発コアメンバーらに本研究について報告し,今後の連携について話し合った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に予定していた,ルーブリック機能および授業レビュー機能の開発,小規模クラスのルーブリック作成,システムの機能要件に基づく形成的評価が完了した.システム機能の開発時期が年度の始めに開始できなかったことにより,システムとルーブリックによる自己評価および授業評価の検証作業が後期授業での実施となったが,本年度の計画として目標段階までは進捗でき順調である.平成27年度は,Maharaのユーザーインターフェースがbootstrapベースのものに刷新され,使い勝手や印象が大きく向上した.本研究で開発しているルーブリック機能は,Maharaのプラグインとして開発しているため,今回,bootstrapベースに対応できたことは,平成28年度に予定している他の教員と協力しての授業実践や成果の公開を考えると順調に対応できている.
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,検証ならびに公開フェーズと位置づけ,OSSのeポートフォリオシステムであるMaharaに開発したルーブリックプラグインを活用し,本研究にて提案する学生の自己評価に基づいた授業改善サイクルモデルの検証を実施し,研究成果を学会発表やGithubやOSSコミュニティを通じて公開する. 【計画6】平成27年度に作成した情報リテラシールーブリックを改善し,本学の1年次の前後期に開講される情報リテラシー科目での活用を目指す.年間を通じて,学生の自己評価に基づいた学習到達度のチェックならびに授業レビュー機能による授業改善を行う.形成的評価による改善を完了し,学内におけるシステムの試験運用に入る.他の教員に協力を依頼し,実際に授業で活用する.申請者は,本学内の教員とも日頃連携してeポートフォリオの研究を行っており,授業での実践やインタビュー等の協力を得る事は十分可能である. 【計画7】授業の改善点を明らかにすることで,本システムおよびアプローチの有用性を検証する. 授業での改善前の学生の学習到達度の得点を比較し,授業改善効果を検証する.また,実践した授業の学生ならびに教員に対して,アンケートならびにヒアリングを行い,eポートフォリオによる学習としての評価に対する教育効果を確認する. 【計画8】開発した機能やプログラム等の成果を公開する. 学会発表やWebページの開設により成果の公開を行う.また,大学ICT推進協議会やオープンソース・コミュニティ等を通じて開発リソースの共有および公開を行う.また,本研究によるMaharaルーブリックプラグインをオープンソースとして開発したことにより,他大学からの問い合わせにも対応中である.引き続き,積極的に協力していく.
|
次年度使用額が生じた理由 |
非営利団体の ISRG (Internet Security Research Group) による,シスコ(Cisco Systems),Akamai,電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation),モジラ財団(Mozilla Foundation)などの大手企業・団体が,ISRG を支援して運営されている「Let's Encrypt」プロジェクトのSSL/TLSサーバ証明書を発行したことにより無料で導入が可能となったため.
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度が最終年度となるため学会発表等の成果公表に利用する計画である.
|
備考 |
本開発プログラムは,GithubおよびMaharaコミュニティの公式Wikiにて公開している.
|