研究課題/領域番号 |
26730181
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹内 聖悟 北海道大学, 情報科学研究科, 研究員 (40625258)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲーム情報学 |
研究実績の概要 |
ゲームAI 同士の感想戦の実現とそれによるAI の強化の実現に向けての研究を行っている。感想戦とは、ゲーム後にそのゲームの記録(棋譜)を振り返って検討を行うことで、プレイヤの棋力向上をことを目的としている。ゲームAI では、過去のゲームの記録から機械学習によるパラメータ調整が行われているが、記録の検討、特にそのAI以外の思考を導入するものは余り研究が行われていない。
本年度はAI同士の感想戦の実現のために、検討局面の発見、探索結果の解析、感想戦システムの開発について取り組んだ。従来のゲームAI に関する研究は単一のAI を使ったものが多く、2つ以上のAI による探索や評価の取り扱いについては従来の手法が使えないことが多いという困難がある。 検討局面の発見については、棋譜の指手について好手や悪手を発見する手法について取り組んだ。その研究過程において、AI の強さを棋譜の指手とAI の読筋や評価値から推測する手法についての発想を得たため、その研究を行った。AI による評価値や読み筋を付加してその評価を行った例があるが、付加のためのコストが大きい。現在の将棋AI では対戦時にその読筋や評価値を棋譜へと付加できるため、そのデータを使うこと付加コストなしでの処理が可能となる。ここでも、データを付加するAIが1体ではないため、従来手法はそのまま適用できないという問題があった。実際にそのデータで実験を行い、内容をまとめて国内の研究会において発表し、さらに発展させた内容を国際会議へと投稿する予定である。 探索結果の解析や感想戦のシステムについては、プロトタイプとなるアイデアを実装し、実証実験のための準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れの原因は、提案手法の詳細についての発想が遅れたことである。 現時点では、ゲーム木探索の結果の解析についてプロトタイプを実装中であり、実験と結果からの改良が必要ではあるが、概ね用意はできている。また感想戦のシステムについても、コンピュータ将棋で広く使われているプロトコルを利用して上記の実装を行っているため、そのプロトコルに対応するプログラム間での感想戦は容易に実現が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な推進方策に変更はない。達成度の項目で述べたように「ゲーム木探索の結果の解析」に起因した遅れがあるが、それ以降の部分は用意を行っているため、遅れは取り戻せるものだと考えている。 また、検討局面の発見の副産物として、レーティングの推測についての研究を行った。これはゲームの内容と強さについての研究であり感想戦に関連がある。そのため、こちらも引き続き研究を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時から予算が減少したこと、購入予定のワークステーションの価格が上がっていたため、ワークステーションなどの物品購入の計画を再検討する必要があった。それに加え、予算残高確認のため学会の旅費確定を待って物品購入を行ったため、購入時期が遅れ、次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
生じてしまった次年度使用額については、予定していたワークステーションや書籍、ハードディスクなどの購入に使用する。
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