本研究の目的は,金管楽器演奏における音響的特徴と筋活動の測定値とを相互に変換する技術の開発を通じて,楽器演奏の基礎練習に科学的妥当性を与えることである.特に本研究では,この相互変換技術をめざし,音響的特徴と筋活動の相関関係の有無を中心に調査を行った.こうした研究ではこれまで口唇周囲の筋活動に着目することが多かったが,本研究では呼吸時に使用される腹斜筋の筋活動も調査した.アマチュアトランペット奏者12名を対象に実験を行ったところ,音が高くなるにつれ,発音準備時と音持続時の両方において,口角下制筋と腹斜筋の筋活動量が増加し,音が大きくなるにつれ,音持続時において口角下制筋と腹斜筋の筋活動量が増加することが分かった.
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