研究実績の概要 |
平成27年度は、平成26年に検討した半透膜培養法および沿岸海水から捕集した粒子態有機物を用いて、実際の粒子態有機物からの蛍光性溶存有機物(タンパク質様、腐植様有機物質)溶出実験を行った。この実験では、分子量の異なる半透膜 (分子量100-500および8,000-10,000) を使用し、分子量の違いによる蛍光有機物の溶出変化を解析した。これらの結果から、付着性細菌群集が粒子態有機物を利用して腐植様M蛍光物質(特にpeak M)を溶出すること。また、その蛍光物質は分子量8,000~10,000の範囲にあることが明らかとなった。また、粒子態有機物から溶出してくると考えられる還元糖類およびアミノ酸各種を海水中に添加し、これらの添加に増殖応答する細菌系統群および、細菌群集構造変化に伴う蛍光性溶存有機物の変化を解析した。これらの結果から、還元糖及びアミノ酸の添加によって異なる細菌群集構造変化を起こし、これら細菌系統群の群集組成の変動によって腐植様蛍光物質の質および量が変動することが示唆された。
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