研究課題/領域番号 |
26740005
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中嶋 吉弘 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20419873)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 反応性窒素化合物 / 窒素酸化物 / 夜間大気化学 / 超高感度光吸収法 |
研究実績の概要 |
本研究は大気中の窒素酸化物の夜間における消失過程として重要な化学種と考えられているNO3およびN2O5を測定し、大気中における窒素酸化物の消失量の推計および消失量の季節および地理的要因による変動を把握することを目的としている。本研究目的を達成するにあたり、近年欧州で開発された超高感度光吸収法であるブロードバンドキャビティエンハンスド光吸収法(BB-CEAS)をNO3およびN2O5の実大気測定装置として応用する。 本年度は大気観測へ使用するために既に独自に開発したBB-CEASの改良を行った。その結果実験室レベルでの測定では、1分間の測定で2pptvの検出感度を得ることができた。一方でN2O5の測定にはN2O5を100℃程度に加熱してNO3とNO2に分解し、NO3を測定する必要がある。N2O5測定のための熱分解BB-CEAS装置の開発を行ったが、加熱によって生じる熱乱流の影響のため、検出感度は極度に低下し現在大気観測にまで応用できる状況になっていない。 熱乱流による影響を抑えるための方法を得るために、イギリス・ケンブリッジ大学の研究グループを訪問し、彼らが独自に開発したBB-CEAS装置の視察と装置改良のための助言を得た。次年度ではこの助言を元に装置の改良を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NO3測定としての装置開発は成功しているが、N2O5に関しては『研究実績の概要』で述べた熱乱流の影響のため大気観測装置としてはまだ不十分であるため。
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今後の研究の推進方策 |
N2O5測定装置開発での熱乱流による感度低下を抑える方法を得るために、イギリス・ケンブリッジ大学の研究グループを訪問し、彼らが独自に開発したBB-CEAS装置の視察と装置改良のための助言を得た。次年度ではこの助言を元にN2O5測定装置の更なる改良を行い、NO3測定装置と同程度の検出限界が得られるよう装置の改良を目指す。 また装置開発と並行して、NO3およびN2O5測定に適した観測地の選定を東京農工大学のキャンパス内または演習地から選定を行う。選定に関しては既存の窒素酸化物測定装置とオゾン測定装置を設置し、およそ1ヶ月程度の常時観測から得られた結果をもとに観測地の選定を行う。
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