劇的な海氷減少が進行している北極海において、放散虫群集の環境指標としての有用性を明らかにすることを目的として研究を実施してきた。西部北極海で採集した海洋沈降粒子および多層曳きプランクトンネット試料から放散虫群集の生産量の季節変化と生息分布を調査した。その結果、放散虫群集の生産量および種組成は主に海氷密接度の季節変動に伴う表層水塊の変化に対応して変動していることが分かった。北極海太平洋冬季水に特徴的に生息する種を発見し、マイクロフォーカスX線CTスキャナー(MXCT)により骨格の内部構造を観察した。MXCTにより得られた3次元モデルを新種記載に初めて応用し、客観性に優れた形態情報として示した。
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