研究課題
1. 現場観測データを用いた、海氷(薄氷厚)アルゴリズムの高精度化平成24年9~10月に行われた豪州主催の国際南極海氷観測は、東経120度付近のドルトンポリニヤを含む海氷域で行われた集中観測で、得られた現場観測データによって薄氷厚アルゴリズムの高精度化が期待される。この観測で申請者は日本から、人工衛星に積んであるマイクロ波センサーと全く同じセンサーを積んだ携帯型の放射計(研究協力者:北大・低温研・大島教授)を持ち込み、これをヘリに搭載して観測を行って、現場検証を行った。本研究課題がターゲットとしているポリニヤ域でのヘリ観測に成功し、世界初となる沿岸ポリニヤでのヘリマイクロ波現場データの取得に成功した。アルゴリズムの高精度化に貢献する知見を論文にまとめて、国際誌に提出し、査読を受けた上で改訂作業を行った。2. 定着氷の取り扱いに関わる検証沿岸ポリニヤを正確に検出する為には、定着氷の位置やその変動を検出することが不可欠であり、薄氷厚アルゴリズムの高精度化にもこれは欠かせない。これまでの薄氷厚アルゴリズムは、85GHz周波帯のマイクロ波データを用いて、定着氷検出アルゴリズムを作成してきたが、上記の現場観測の結果から、36GHZ周波帯のマイクロ波データを用いても、定着氷を検出できる可能性が示唆された。これは定着氷検出アルゴリズムの高精度化につながるものであり、薄氷厚アルゴリズムの高精度化に直結する。この知見を上記の論文の一部としてまとめ、国際誌に提出し、査読を受けた上で改訂作業を行った。このように、交付申請書に記載した「研究の目的」及び「研究実施計画」について、上記のように直接的に研究目的に対して成果を上げる事となった。
2: おおむね順調に進展している
前述のように、交付申請書に記載した「研究の目的」及び「研究実施計画」について、直接的に研究目的に対して成果を上げる事となった為。
今後は、(1) Peaseモデル(Pease, 1987:沿岸ポリニヤの形成過程を簡単な力学・熱力学モデルで表現)の検証等を通して、沿岸ポリニヤの形成過程を力学・熱力学的観点から明らかにし、(2)南極沿岸ポリニヤにおける海氷生産量を定量的に見積もる。
年度内に招聘する予定だった共同研究者が、先方の都合により、年度内に来ていただくことが難しくなってしまったため。
初年度に招聘する予定だった共同研究者に、二年度目のできる限り早い段階で来ていただく予定になっているので、その旅費に使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
日本リモートセンシング学会誌
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