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2016 年度 実績報告書

白血病の原因となるMLL融合蛋白ENLのDNA二重鎖切断修復の制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 26740016
研究機関東京工科大学

研究代表者

宇井 彩子  東京工科大学, 応用生物学部, 准教授 (00469967)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードDNA修復 / 転写 / がん / ATM / ポリコーム / ENL
研究実績の概要

DNA二重鎖切断(DSB)は細胞にとって致死的であり、がん治療に応用されている。研究代表者は、DSBに応答するクロマチンリモデリング因子のスクリーニングで、MLLと融合して白血病を引き起こす因子であるENL(MLLT1)を同定した。
ENLは転写促進/クロマチン構造の弛緩を促すTrithorax群と相互作用すると報告されてきたが、新たに研究代表者はENLがTrithorax群とは相反する作用を持つ、転写抑制/クロマチン構造の凝集を促すPolycomb群のPRC1とも相互作用する事を発見した。
そこで、DSBと転写を簡便に可視化して評価できる実験系を用いて、ENLとPRC1の機能的関連を見出した。その結果、DSBによりENLがPRC1を転写活性化部位にリクルートすることが明らかになった。さらにENLとPRC1の相互作用を、免疫沈降法を用いて解析したところ、DSBによりATM依存的にENLがリン酸化されること、このENLのリン酸化によりPRC1のユビキチンE3-ligaseであるBMI1とRING1Bの結合が強くなることを見出した。さらに、ENLのリン酸化が起こらない変異では、PRC1の転写部位への結合が抑制されること、DSBによる転写抑制が起こらなくなることが明らかになった。このことから、DSBにより活性化されたATMに依存してENLとPRC1の結合が変化し、これにより転写の伸長と抑制が制御されていることが明らかになった。この結果は、国際的な科学雑誌であるMolecular CellとNucleusに掲載された。
さらに平成28年度は、ChIPアッセイを立ち上げ、ENLとポリコームが転写部位のどの領域に結合するのか、詳細な解析を進めた。その結果、ENLとポリコームが転写が起きた際の転写部位への領域への結合は異なる点があるものの、転写とDSB発生時に、同様の領域に結合する可能性が示唆されている。今後は、領域の同定をさらに進め、ENLとポリコームの転写とDSBにおける協調機能を明らかにしたい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Collaboration of MLLT1/ENL, Polycomb and ATM for transcription and genome integrity2016

    • 著者名/発表者名
      Ui A, Yasui A
    • 雑誌名

      Nucleus

      巻: 7 ページ: 138-145

    • DOI

      doi: 10.1080/19491034.2016.1177681

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 新規Ubiquitin E3-ligaseのDSB修復を介した染色体安定機構2017

    • 著者名/発表者名
      宇井彩子
    • 学会等名
      染色体ワークショップ
    • 発表場所
      かずさアカデミアホール(千葉県木更津市)
    • 年月日
      2017-01-11 – 2017-01-13
  • [学会発表] DSB修復に関与する新規Ubiquitin E3-ligaseの機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      宇井彩子
    • 学会等名
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
    • 招待講演
  • [学会発表] Chromatin remodeling complexes belonging to ISWI and SWI/SNF families cooperatively promote DSB repair to prevent genome instability.2016

    • 著者名/発表者名
      宇井彩子
    • 学会等名
      3R symposium
    • 発表場所
      ホテル一畑(島根県松江市)
    • 年月日
      2016-11-13 – 2016-11-17
    • 国際学会
  • [学会発表] DSB修復に関与する新規Ubiquitin E3-ligaseの機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      宇井彩子
    • 学会等名
      生物ゲノム安定維持の分子機構
    • 発表場所
      国立遺伝学研究所(静岡県三島市)
    • 年月日
      2016-10-24 – 2016-10-25
    • 招待講演
  • [学会発表] DNA損傷修復と転写の共役機構と染色体安定性2016

    • 著者名/発表者名
      宇井彩子
    • 学会等名
      第9回Symphony
    • 発表場所
      ホテルメトロポリタンエドモンド(東京都千代田区)
    • 年月日
      2016-09-18 – 2016-09-19
    • 招待講演
  • [学会発表] エストロゲン依存的なユビキチン化制御機構の解2016

    • 著者名/発表者名
      宇井彩子
    • 学会等名
      第2回Neo Vitamin D Workshop 学術集会
    • 発表場所
      TKPガーデンシティ品川(東京都品川区)
    • 年月日
      2016-08-26 – 2016-08-27

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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