研究課題/領域番号 |
26740017
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金尾 梨絵 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (30542287)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DNA損傷トレランス / PCNA / 翻訳後修飾 |
研究実績の概要 |
DNA損傷による複製阻害は突然変異の蓄積をもたらしたり、細胞の癌化や老化につながる可能性がある。そのため、複製阻害を回避する機構は細胞内のゲノム安定性に重要な役割を果たす。真核細胞では複製阻害回避機構の制御にPCNA(細胞増殖核抗原)の164番目のリジン(K164)の翻訳後修飾が重要であることが明らかになってきている。しかし、詳細なメカニズムは不明な点が多く、特にPCNAがホモ三量体であり、一つのPCNA分子に三箇所の被翻訳部位があることに着目をした解析はほとんど報告されていない。 本研究では、三量体の複数のモノマーがモノユビキチン化を受けた、マルチユビキチン化の複製阻害回避機構における役割をヒト細胞を用いて解析している。前年度の解析結果から、複製阻害を引き起こす薬剤であるIrofulvenを用いた場合、マルチユビキチン化PCNAが関与する複製阻害回避機構が働くと考えられたため、当該年度ではこの経路に関わる因子の探索を行い、既知のDNA損傷トレランス因子を含む複数の候補分子を得ている。これらの候補分子とマルチユビキチン化PCNAとの関連を精査し、研究計画をさらに進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度ではIrofulven損傷の複製阻害回避機構に関与すると考えられる複数の因子を見出しており、それらの因子とマルチユビキチン化PCNAとの関連を解析する実験準備に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
Irofulven損傷の複製阻害回避機構に関与すると考えられる因子をヒト細胞内でノックダウン、もしくはノックアウトし、Irofulven損傷に対する応答、及びマルチユビキチン化PCNAとの関連を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Irofulven損傷による複製阻害回避機構に関与すると考えられる候補の因子を当該年度に見出し、27年度以降に行う計画であったノックアウト細胞の作成を28年度に行うため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
Irofulven損傷による複製阻害回避機構に関与すると考えられる候補の因子の、ノックアウト細胞を作成し、この細胞のIrofulven損傷に対する応答及び候補因子のマルチユビキチン化PCNAとの関連を調べる。
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