前年度の遺伝毒性物質に対する細胞毒性感受性の結果がオフターゲット作用などによるものではないことを確認するために、平成26年度に作製した各遺伝子(WRN、RECQL5、GEN1、SLX4)のノックアウトクローンのうち昨年度に細胞毒性を比較したクローンとは別のノックアウトクローンを用いて、ウェスタンブロット法によるタンパク質の発現と各遺伝毒性物質に対する細胞毒性感受性の比較を行った。 ウェスタンブロット法によるタンパク質の発現解析の結果、いずれの遺伝子のノックアウト細胞も目的のタンパク質が発現していないことが確認できた。WSTアッセイにより各遺伝毒性物質に対する細胞毒性感受性を比較した結果、GEN1のノックアウト細胞はカンプトテシンとエトポシドに対して高い感受性を示し、また、WRNとRECQL5のノックアウト細胞はヒドロキシ尿素に対してわずかに高い感受性を示した。また、SLX4のノックアウト細胞は、マイトマイシンCの他、メタンスルホン酸エチルやN-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジンなどのアルキル化剤に対して高い細胞毒性感受性を示した。一方、RECQL5とSLX4のノックアウト細胞はブレオマイシンに対して耐性を示した。これらの結果は、前年度の細胞毒性感受性を比較した結果とほぼ同様であり、各遺伝毒性物質に対する感受性の変化はそれぞれの遺伝子のノックアウトによる影響であることが示唆された。
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