本研究では、気候要因、地形要因、土地利用に加えて寄主植物の分布を考慮した分布モデルをチョウ類22種に対して構築し、その分布モデルから環境変動下における分布域の変化の見積もりをおこなった。 日本におけるチョウ類の分布規定要因としては気候要因の影響が大きいことが示され、土地利用の効果も一定の割合で見られた。また、分布モデルを構築する際の生物間関係を考慮する重要性が示唆された。環境変動下におけるシナリオ分析の結果、気温上昇は種に応じて分布域の増減のいずれにも影響を及ぼすことが示唆された。土地利用の変化シナリオにおいても多少の分布域変化が予想された。
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