研究課題/領域番号 |
26740037
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 由也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究員 (80711291)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 物質生産 / 独立栄養性細菌 / CO2 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、独立栄養性の水素細菌を用い、温室効果ガスとして注視される二酸化炭素の有価物への変換に挑戦している。微生物を用いた物質生産における共通課題は、物質生産をさせることで微生物の生育が阻害され、結果的に生産物の収量が抑えられてしまうという点にある。そこで本研究では、遺伝子の発現量をコントロールする「プロモーター領域」を選定し、目的の物質生産遺伝子に融合させることで、任意のタイミングで生産を開始させる物質生産系の構築を目指している。 当初の目的では初年度に遺伝子発現解析を行い、その結果に基づいてプロモーター領域を選定する予定であった。しかしLinuxシステムを用いた遺伝子発現解析手法の習得に想定以上の時間を費やしてしまい、初年度には発現解析を終えることはできなかった。そこで当該年度では、独立栄養条件で発現することが知られている遺伝子のプロモーター領域を選定し、このプロモーターに特化して物質生産系の構築に取り組んだ。当該年度は、本研究で着目している4種の物質生産遺伝子とプロモーター領域の融合を行った。さらに、前年度に構築した遺伝子導入法を用い、4種の遺伝子の内3種類については対象微生物ゲノムへの組み込みに成功した。しかしながら、この物質生産遺伝子は大量に目的産物を生産するために微生物へのダメージが大きく、培養過程で欠落してしまうことが確認された。そのため、次年度以降は後述の通り代替の戦略で物質戦略を目指すこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に遺伝子発現解析系の構築に費やした時間の分だけ達成度が低くなっている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究結果から、目的遺伝子の導入により対象微生物が大きくダメージを受けることが確認された。これを踏まえると、当該年度までは「あるタイミングで高発現させるプロモーター領域」を選定していたが、それよりも「あるタイミング以外は遺伝子発現を強く抑制するプロモーター領域」が適していることが示唆された。次年度からは戦略を切り替え、引き続き発現系の再構築を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に遺伝子発現解析を終えることができなかったため、解析に要する消耗品やキットに充てる物品費の大部分が未使用として繰り越された。当該年度の未使用額は初年度からの繰り越し分に相当する。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度まででLinuxシステムを用いた遺伝子発現解析(RNA-seq解析)系の構築、さらに発現量解析で有用なプログラミング言語の習得を終えることができた。次年度は遺伝子発現解析用のキット、発現量計算に必要なコンピューター、分子生物学実験に要する試薬の購入を計画している。また研究を加速させるため、契約職員の雇用を計画している。
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