研究課題/領域番号 |
26740038
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
嶋寺 光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20647367)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 大気質モデル / PM2.5 / 越境汚染 / 地域汚染 / エアロゾル直接効果 / 鉛直拡散 / 発生源解析 / 感度解析 |
研究実績の概要 |
大気質モデルCMAQによる2010年度シミュレーションを実施し,PM2.5の前駆物質濃度,質量濃度,主要成分濃度の再現性を評価した。PM2.5質量濃度については,やや過少評価となった。PM2.5主要成分については,硫酸塩,アンモニウム塩,元素状炭素は良好に再現され,硝酸塩は過大評価,有機成分は過小評価となった。また,ゼロエミッション法により,越境汚染による国内のPM2.5濃度への寄与を求めた。再現性が高かった硫酸塩濃度に対する越境汚染寄与を用いて,越境汚染日と地域汚染日の切り分けを行い,それぞれについてPM2.5濃度の再現性を評価した。その結果,地域汚染日では,越境汚染日に比べて,大気質モデルによるPM2.5濃度の過小評価が顕著であり,PM2.5濃度再現性向上のためには,国内における排出インベントリおよび二次生成過程の改善が重要であることが示唆された。 また,WRF-CMAQオンライン結合モデルにより,東アジアにおけるエアロゾル直接効果がPM2.5シミュレーションに及ぼす影響について評価した。その結果,直接効果を考慮した場合,PM2.5が高濃度な中国では,地表面に到達する短波放射が減少することで,下層大気が安定化して鉛直拡散が抑制され,PM2.5の地上濃度が上昇することを示した。またその分,PM2.5が風下に輸送されにくくなり,長距離輸送の影響を受けやすい日本では,濃度が減少する場合もあることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オフライン大気質モデルによるシミュレーションにおけるPM2.5再現性の詳細評価に加えて,オンライン気象・大気質モデルの導入と感度解析,発生源解析のためのタグ付きトレーサー法の導入とゼロエミッション法との比較などが進んでおり,おおむね順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き,オフライン大気質モデル,オンライン気象・大気質モデル間の比較,主要入力条件(気象場,排出量,アジア域境界濃度)および各物理・化学過程に関する感度解析を実施し,大気質モデルによるPM2.5予測に対する支配的誤差要因の抽出を行う。ケーススタディとして,それらの誤差要因が改善された場合を想定して大気質モデルの変更を行う,再計算結果についてPM2.5再現性の評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
投稿論文の掲載費用として見込んでいたが,掲載が2016年度以降となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
投稿論文の掲載費用
|