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最終年度は，(1) PM2.5予測結果に対する各種計算条件の感度解析，(2) エアロゾル直接効果がPM2.5予測に及ぼす影響の評価，(3) ウランバートルへの大気質モデルの適用，(4) PM2.5濃度再現性向上のための大気質モデル改良を実施した。
(1) 中国で高濃度PM2.5汚染が発生した2013年1月を対象とする，複数条件での気象/大気質モデルによるPM2.5シミュレーションの結果を比較した。地域汚染の影響が大きい北京では，大気境界層スキームの変更やエアロゾル直接効果の考慮により，高濃度時にはそれぞれ50％以上PM2.5濃度が変化した。一方，長距離輸送の影響が大きい大阪では，北京に比べると計算条件変更に伴うPM2.5予測結果の変化率は小さくなった。
(2) 中国・日本を対象に，オンライン結合版気象/大気質モデルによる通年シミュレーションを実施した。PM2.5の再現性は，中国大都市部では日本と同程度であった。エアロゾル直接効果を考慮した場合，PM2.5濃度が特に高い中国大都市部で，日照時間の再現性が明らかに改善され，モデルの妥当性が示された。また，中国大都市部では，直接効果による短波放射の減少に伴って下層大気が安定となり，よりPM2.5濃度が上昇した。
(3) 深刻な大気汚染が顕在化しているウランバートルを対象に大気質シミュレーションを実施した。日本・中国と比べて，ウランバートルの高濃度汚染の再現性は明らかに悪く，今後，アジア諸国において大気質モデルを活用するためには，排出インベントリの改良が不可欠であることを示した。
(4) 前年度までに，大気質モデルによる春季・秋季の黄砂や夏季の有機粒子生成の過小評価に伴うPM2.5過小評価が明らかとなっていた。そこで，土壌性ダスト飛散モデルの改良，植物起源二次有機粒子生成過程の追加を実施し，過小評価を改善した。
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