平成28年度は申請時に計画した各サブテーマに関して以下の成果を得た。 Ⅰ.H26-27年度の2ヵ年で、既に40台超の車両から120の内装部材を採取、測定しており本研究課題の遂行に十分と判断し新たな試料の分析は行っていない。 Ⅱ.自動車内装部材からダストへの難燃剤成分の移行は、接触によるものが主であることが確認された。また移行係数と移行する難燃剤成分の土壌吸着係数の間に正の相関が確認されたことから、化合物の有機物との親和性が移行性に影響すると考えられた。 Ⅲ.自動車内装部材のうちリサイクル原料を使用している防しん材を原料素材ごとに裁断し、個別に分析に供した。結果、ウレタン素材を中心に特定素材から高濃度のDEG-BDCIPPが検出され、リサイクル原料経由で防しん材に難燃剤外交していることが確認された。 研究機関全体を通した検討から以下の成果が得られた。40台超の車両から120の内装部材を採取、測定した結果、主にシートウレタンからDEG-BCDIPPを中心とした難燃剤成分が検出された。車内環境における内装部材中の難燃剤のダストへの移行は、接触に伴う移行が主であり、化合物の分子量や有機物との親和性と移行係数の間に正の相関が確認された。リサイクル原料から製造された防しん材のうち、廃ウレタンを原料とした製品を中心にリサイクル原料から製品への難燃剤成分の移行が確認された。このようなリサイクル製品の中には、一部のリサイクル原料のみから難燃剤成分が検出されたケースも見受けられ、原料の選別が不十分なケースが見られた。
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