本研究の目的は、山菜として利用されるチシマザサのタケノコを対象とし、生態学的な知見に基づいて人為的撹乱に対するチシマザサの応答について調べ、タケノコ資源を活用するための情報を提言することである。野外実験の結果、「タケノコ採取」はササの補償成長を促すことで翌年以降のタケノコの生産性を高めることを発見した。一方で、「地上部の刈取り」のような破壊的な撹乱ではタケノコの生産性が低下する可能性が高く、大規模な刈取り後では、タケノコの生産性が元の状態に回復するまでに30年以上かかると予想された。以上の結果から、「タケノコの利用性を高めるには、撹乱の種類や程度を考慮することが重要である」と提起する。
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