研究課題/領域番号 |
26740050
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田代 幸寛 九州大学, 高等研究院, 助教 (90448481)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | デンプン / 直接高温乳酸発酵 / Bacillus sp. MC-07株 / L-乳酸光学純度 |
研究実績の概要 |
本研究では、好熱性Bacillus属細菌を用いた高温乳酸発酵プロセスの開発を目的としている。平成26年度に実施した主な研究内容は下記の通りである。 1. デンプン資化性好熱性乳酸生産Bacillus属細菌の分離、同定および性状解析 コンポストより、デンプン加水分解せずに乳酸に変換できるMC-07株を分離した。16S rRNA遺伝子解析の結果、Bacillus thermoamylovorans LMG 18084Tと99.2 %の相同性を示したが、糖類発酵性の違いが大きく、Bacillus sp. MC-07株と同定した。MC-07株は内生胞子形成、カタラーゼ陽性、オキシダーゼ陽性で50°C-62°Cで活発に増殖する好熱性菌であった。 2. pH振動制御法によるBacillus sp. MC-07株とB. thermoamylovorans LMG 18084株の発酵挙動の比較 発酵温度50°Cにて、窒素分を0.001%しか含まず、炭素源をデンプンとする培地で両菌株を用いて嫌気的に直接乳酸発酵試験を行った。発酵液のpHを6.0、6.5、7.0、7.5、8.0でそれぞれ12時間ごとに振動制御した。その結果、両菌株ともpH7.0で最大菌体濃度、最大乳酸生産濃度、最大乳酸生産性、最大乳酸選択性を示し、いずれのpHでもL-乳酸光学純度は100%であった。また、MC-07株はLMG18084株よりも高い乳酸生産濃度、乳酸生産性、乳酸収率、乳酸選択性を示した。本成果は、デンプンからの直接乳酸発酵に関する報告の中で、最小窒素源濃度、最高発酵温度、L-乳酸光学純度、乳酸収率となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記で述べた研究概要は、平成26年度に実施し、すでに論文および産業財産権として特許出願しており、学術および産業の両面からも優れた研究成果である。
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今後の研究の推進方策 |
申請した研究方針に従い、平成27年度には、①生デンプンを用いた直接高温乳酸発酵プロセスの開発、②キー酵素となる酵素活性・転写量測定、③混合糖からの高温乳酸発酵プロセスの開発、④発酵プロセスの環境評価、を行う予定である。
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