多摩川源流域における過去およそ100年間の森林構造の変遷とそれに伴う水収支の変化を推計した。その結果,多摩川源流域における森林の変遷では,特に1947年から1972年にかけての大規模な天然林択伐による新植面積の拡大により,1990年には針葉樹の占める面積は拡大し広葉樹や荒地の割合が減少していた。1914年から2012年の多摩川源流域における森林蒸発散量は,532~710mm/yとばらつきが認められた。しかし, 1914~1944年と1953~2012年の各平均値で比較すると350mm/yから480mm/yに増加していた。これは森林構造の発達により,蒸散量が上昇したためと考えられた。
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