研究課題/領域番号 |
26740054
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
八木 迪幸 神戸大学, その他部局等, 准教授 (50708550)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自動車保有 / 諸元表 / 人口統計 |
研究実績の概要 |
本研究では、1980年代から現在までの日本において、日本市場を対象に自動車保有のコホート分析を行い、保有台数の増減要因を明らかにすることを目的とする。特に、自動車の流入としての新車市場と他地域への流出としての中古車市場、処分としての廃棄市場の3つに着目し、燃料価格・自動車税制が、生産者行動・消費者行動を通じ、排出ガス削減にどの程度に寄与しているかといった環境効率への影響を明らかにすることを目指す。平成27年度は、まず前年度に作成した自動車データとその他デモグラフィックデータの統合を行った。このデータを元に、燃料価格・税制の影響分析の前段階として、自動車保有行動とデモグラフィック要因との相関分析を行った。主な内容として、自動車保有(普通乗用、小型乗用、小型四輪貨物)に対し、所得と人口密度は正の相関、車齢、消費者物価指数、ガソリン価格、平均世帯サイズ、人口、列車・バス使用は負の相関、純移動率と高齢者割合はあいまいな相関が見られた。これらの成果は国内学会で発表した。そして、前年度行った環境効率性推計方法(自動車研究を行うにあたっての前段階の分析)についての研究成果をまとめ、査読付き雑誌論文として発表した。この分析方法は、ノンパラメトリック手法であるFree Disposal Hullにブートストラップ法を適用したものであり、この手法を用いることで環境効率性の感度分析が可能になる。また、次年度の構造推計に向けた準備として、Dube et al. (2012)の構造推計モデルのコード化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度の計画であった自動車データの整理と構造推計のコード化の基本部分が終了した。計画の副次的視点として、環境効率性分析や整理した自動車データを元にした学会発表を行えた。
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今後の研究の推進方策 |
整理した自動車データを用いて構造推計モデルで推計する予定である。特に、税制や燃料といった項目に着目して、保有行動の弾力性を計算する。課題として、コード化した構造推計モデルは、データサイズが大きくなると指数関数的に推計時間が長くなることが明らかとなった。この対応策として、データの分割や、高性能なパソコンの導入を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
推計モデルのコード化までは新規パソコンを購入せずにほぼ終了したが、実際の運用では指数関数的に処理時間が長くなることから、特性に応じたパソコンを吟味する必要があったため、今年度はパソコン購入を見送った。またデータに関して、軽自動車データが比較として必要になる可能性があるが、本研究ではまず軽自動車以外の整理を行った。これらは必要に応じて、発注する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、モデル処理できるパソコンを見積もり、また付随して必要なソフトウェア等、軽自動車データを導入し予算を使用する予定である。
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