本年度は、まず前年度行った自動車保有行動とデモグラフィック要因との相関分析の結果を査読付国際論文として発表した。主な成果としては、自動車保有(普通乗用、小型乗用、小型四輪貨物)に対し、所得と人口密度は正の相関、車齢、消費者物価指数、ガソリン価格、平均世帯サイズ、人口、列車・バス使用は負の相関、純移動率と高齢者割合はあいまいな相関が見られた。次に、新車の売上シェアに対する車両と燃費の弾力性と、保有自動車のシェアに対する保有税と燃費の弾力性の変化をそれぞれ推計した。本研究では、ランダム係数ロジットモデル(DFS)を新車モデルとして、ダイナミック自動車コホートモデルを保有モデルとして、それぞれ都道府県レベルの自動車コホートデータを用いて分析した。データは自動車検査登録情報協会の都道府県レベルの自動車登録データで、新車は1998年から2014年まで、保有は2008年から2013年までを利用した。諸元表データは、カーセンサーラボのデータから用いた。主要な結果は次のとおりである。新車モデルについて、車体価格の平均弾力性(1998-2014)は、最小二乗法(OLS)と二段階最小二乗法(2SLS)、DFSでそれぞれ-1.4、-0.9、-1.7であった。燃費の平均弾力性は、OLS、2SLS、DFSでそれぞれ、-2.3、-2.4、-2.4であった。一方で、保有モデルについて、保有税の平均弾力性は静的推計では2008年は-1.142で、2013年は-0.057、長期推計(動的推計)では、2008年は-17.061、2013年はプラスで6.681となった。燃費の平均弾力性は、静的推計において2008年は-1.533、2013年は-0.733、長期推計では、2008年は-5.250、2013年は-13.404であった。
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