研究課題/領域番号 |
26740055
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 恵美子 京都大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (20710528)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再エネイノベーション / 再エネイノベーション促進メカニズム / インセンティブ構造 / 再エネ関連政策 / 再エネイノベーション促進政策 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、本研究の目的である日本企業の再生可能エネルギー(以下、再エネ)関連イノベーションを促進するメカニズムを明らかにし、インセンティブ構造を解明するために、比較分析を進める欧州企業とそれらの企業に影響を及ぼしている再エネ政策に注目した。 具体的には、再エネ関連の研究開発の取り組みや再エネ関連政策の影響について把握するために、まずは対象国における再エネ関連政策の現状や先行研究について文献で再整理した。再整理を行う過程で、再エネ関連は日々刻々と状況が変化しているため、欧州における再エネの状況を把握するには文献だけでは不十分だと感じ、グリーンイノベーションに関する国際学会への出席と報告(平成26年11月)、欧州委員会(EC)、国際エネルギー機関(IEA)、経済協力開発機構(OECD)等へのヒアリングの実施や、再エネ関連の国際シンポジウムへの参加を通して、情報の収集を行った(平成27年3月下旬~4月初旬)。特に、国際シンポジウムでは、Siemensなどの企業が多く参加しており、再エネ関連の研究開発の取り組み等について直接ヒアリングすることができ、更に関連部署の担当者を紹介頂くことができ、有益であった。また、IEAでは、各国の再エネ政策に関する内容を取り纏めている担当者に直接ヒアリングを試みることができ、欧州の再エネの動きについて理解を深めることができた。 現在、本視察で得た情報や知見に基づき、再エネ関連政策の内容を整理して企業への影響について分析している。平成27年度以降の日本企業へのアンケートの調査項目を明確化する上で、多くのヒントを得ることができた点で意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まず、1点目として、当初の計画通り、本研究の目的である日本企業の再エネ関連イノベーションを促進するメカニズムを明らかにし、インセンティブ構造を解明するために、比較分析を進める欧州企業とそれらの企業に影響を及ぼしている再エネ政策に注目し、文献やヒアリング等を通して、再エネ関連の研究開発の取り組みや再エネ関連政策の影響について把握することができたからである。特に、ヒアリングでは、文献だけではなかなか追うことができない欧州における再エネの状況について最新の情報を得ることができ、再エネのグローバルな動きを把握することができた点、更に平成27年度以降の日本企業へのアンケートの調査項目を明確化する上で、多くのヒントを得ることができた点で有意義であった。 また2点目として、現在、本視察で得た知見や情報から再エネ関連政策の内容を整理し、企業への影響について理解を深めており、平成27年度以降の研究に順調に繋げていくことができている点も理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は主に以下の2つとなる。1つ目は、平成26年度に研究した欧州のケースとの比較分析を通して、再エネ関連政策が日本企業にもたらす影響を検証することである。そのために、アンケートを実施して、その結果を定性的かつ定量的に分析をする。アンケートを実施するにあたり、具体的には、調査項目を欧州視察から得られた最新情報に基づき精査して決定し、アンケートの対象となる日本企業を選定する。 2つ目は、日本企業の再エネイノベーション促進要因を特定化することである。1つ目で実施予定のアンケートの結果、購入するデータ、ヒアリングによって得られた情報などから構築するオリジナルのデータセットを用いて定量的に分析を行い、具体的にどのような要因が再エネイノベーションを促進しているのか特定化する。これにより企業のインセンティブ構造を明らかにすることを試み、最終的には政策へのインプリケーションの導出を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に購入を見込んでいた再エネイノベーションのデータを平成27年度以降に購入することにしたため。実際にアンケートを実施して計量分析を実施するのは、平成27年度以降であり、その際に最新のデータを用いて分析したいと考えたことからの判断である。 またデータが高額のため、平成26年度分の交付決定額では、欧州視察とデータ購入の両方を実現させるには十分でなかったことも理由として挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度以降にはアンケートを実施していくので、アンケート実施にかかる経費を考えつつ、上記に挙げたデータを購入する予定である。
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