本研究は,ロバストデザインと類似する概念を有しデザイン上流過程に用いられるユニバーサルデザインや人間中心デザインの知見と,デザイン上流過程において用いられるボトムアップとトップダウンを融合したデザイン展開を行う創発デザインの知見を応用することで,デザイン目標とその因子の設定を支援するロバストデザイン方法(システム)を構築することを目的としている. 2016年度の研究では,まず,昨年度抽出した創発デザイン手法(デザイン手法のなかでデザイン上流過程における分析・発想・評価に特化したもの)とシステムズエンジニアリングの流れに基づく分類・選択基準を改良し,デザイン手法におけるインプットとアウトプット(デザインにおける与条件,状況,問題構造,デザイン案など)にも基づいて分類・選択するシステムを構築した.そして,構築したシステムを用いてリクライニング車椅子の詳細デザインを行うとともに,同車いすの有効性評価(ユーザビリティ評価)を特別老後老人ホームにおいて検証することで,提案した特徴分類の適用可能性を確認した. これらの成果は,原著論文2件,国際会議発表2件,国内会議発表2件にて報告された.なお,本研究で得られた成果の一部については,今年度中に論文投稿を完了する予定で進めている. 今後の課題として,提案システムのさらなる有効性検証が挙げられる.そのために,同システムをその他のデザイン事例にも適用していく予定である.
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