本研究は呈示された色・形に対して甘味・酸味・塩味・苦味・旨味の味覚的な印象を主観評価し,評価結果をもとにパッケージから味覚的な印象を与えるための食品パッケージデザイン支援ツールを作成した.具体的な目的としては,色・形に対する味覚的な印象を定量的に評価し,視覚刺激の味覚的な印象への影響を調査する.また,パッケージの色・形を入力することで味覚的な印象を数値化し出力するツールを作成することであった. 初年度は単色の色や形を定量的に呈示し,5つの基本味(甘味,酸味,塩味,苦味,旨味)に対する印象を主観評価させ,視覚刺激の味覚的な印象への影響を調査した.結果としては,甘味,酸味の味覚的な印象は,それぞれ5Rなどの赤系の色相や5Yなどの黄色系の色相の彩度変化により高くなることが分かった.また苦味は明度が低くなるほど感じることも得られた.色と形の組み合わせ刺激の結果より,形よりも色の印象を優位に表す傾向が得られた. 最終年度は単色のみならず複数色についても評価を行った.その結果を基に,色や形を入力するとその色・形に対する基本味の印象を5角形のレーダーチャートで出力するパッケージデザイン支援ツールを作成した.色における甘味,酸味,塩味の味覚的な印象に関して,それぞれの味覚の印象が強かった2色で配色することで,印象が強調することが分かった.また,市販されている食品パッケージの色彩の印象と結果を基に開発したツールからの評価結果がある程度一致しており,応用的に活用可能であることが示唆された.
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