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2015 年度 実施状況報告書

多重債務者のための効果的生活再建支援モデルと支援体制のあり方

研究課題

研究課題/領域番号 26750011
研究機関鹿児島大学

研究代表者

石橋 愛架  鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610920)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード多重債務者 / 生活再建 / 支援 / M-GTA
研究実績の概要

多重債務者の生活再建を実現するための支援を具体的かつ実施可能なものとして提示するために、27年度は、借金から抜け出せなくなるプロセスの分析をとおして多重債務者への生活再建支援を行う際の留意点について、日本消費者教育学会九州支部研究発表会、および全国大会で発表した。分析にあたっては、質的研究の手法であるM-GTAを用いたため、M-GTAに関する研究会で発表し、本手法に精通した研究者の指導助言を得て、分析の信頼性を高めていった。研究結果は、以下のとおりである。
1人々はお金を管理できなかった自分に〈劣等感〉を抱きながらも人によく思われたいと〈見栄を張り〉、お金を使う。このことから、相談員は、相談者がお金を管理できないことに〈劣等感〉を抱いていることを理解したうえで支援することが必要である。
2〈つらい〉ので〈元に戻りたい〉と思っても、〈自分で何とかせねば〉という規範意識に支配されているうちは、〈うわすべりの努力〉が空回りし状況は変化しない。支援においては、長年〈自分で何とかせねば〉という思いでいたことに理解を示すとともに、そのような規範意識は合理的でないことを理解させる。また、空回りではあったが努力してきたことに理解を示すことが重要である。
3〈何とかなっている現実〉があるうちは、どうにかなると〈現実逃避〉を繰り返して借金から抜け出せなくなってきたことを踏まえ、支援においては逃避しないようにその人ができる課題を与えるようにすることが必要であろう。
4支援につながったということは、〈元に戻りたい〉と強く思い、〈現実逃避〉をやめて現実を直視したからだと思われる。支援においては、〈元に戻りたい〉という思いを利用して生活を再建しようとする気持ちを高めることが肝要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

27年度は「多重債務者の生活再建支援モデルの考案」を行う予定であったができなかった。
モデルの考案にあたっては、多重債務、および、生活再建のプロセスを解明する必要があるが、その解明にはM-GTAという質的研究の手法を用いる必要があり、その分析方法をうまく使いこなすことができずに分析が思うように進まなかったことが、研究が遅れている理由であると認識している。
今後は遅れを取り戻すべく、基本に立ち返り、研究方法に関する文献の購読、および、M-GTA研究会にて分析方法の習得を行う。さらに、分析と並行して、論文の執筆も行う。

今後の研究の推進方策

28年度は、「多重債務者の生活再建支援モデル」を「生活再建」への効果を維持したまま現支援体制に導入するための方策について検討するために、国内外の相談機関へのインタビューを行う必要がある。そのために、まずは、解明した多重債務、および、生活再建のプロセスを学会誌に投稿する。それと並行して、支援モデルの考案を行う予定である。なお、支援モデルは、当初は、多重債務者の生活再建支援を専門に行っている機関等で使用できるものを考えていたが、多重債務者に接する機会のある一般の機関(消費生活センター、社会福祉協議会、病院、警察、カウンセラー等)で使用できるものに変更する。本研究で明らかになりつつある「多重債務」および「生活再建」のプロセスの性格からして、多重債務に精通している人よりも、精通していない人に多重債務者理解を促す教材としての効果のほうが高いと考えるからである。

次年度使用額が生じた理由

約30万円の残金が生じた理由は、研究が遅れておりインタビューを実施していないので、その分の旅費を支出していないためである。

次年度使用額の使用計画

今年度は、研究の遅れを取り戻す必要があるため、インタビューと研究会への参加、学会発表のために、その費用をあてる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 多重債務者への生活再建支援―借金から抜け出せなくなるプロセスの分析―2015

    • 著者名/発表者名
      田村愛架
    • 学会等名
      日本消費者教育学会第35回全国大会
    • 発表場所
      佐賀大学(佐賀県、佐賀市)
    • 年月日
      2015-10-04 – 2015-10-04
  • [学会発表] 多重債務とは何か―人々が借金から抜け出せなくなるプロセスの分析―2015

    • 著者名/発表者名
      田村愛架
    • 学会等名
      日本消費者教育学会九州支部研究発表会
    • 発表場所
      佐賀大学(佐賀県、佐賀市)
    • 年月日
      2015-06-06 – 2015-06-06

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公開日: 2017-01-06  

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