研究実績の概要 |
本論の対象は,申請者を含む研究教育機関がまちづくり支援を続け,住民の発意を景観まちづくりビジョンから計画策定,住民による複数の町屋活用へ結びつけた,古都奈良の歴史的小都市(奈良県桜井市初瀬)である. これまでのまちづくり支援の課題をより一層明確化しながら,コミュニティで暮らし続ける為の事業の担い手育成を目指し,成果として支援技術を開発することを目的とする. 平成26年度は,キーパーソンに過去の景観まちづくりのビジョンを説明し,その実現に向けたまちづくり市民事業の勉強会を開催した. 具体的には,①2ヶ月に1度の勉強会開催。景観まちづくりの会にて交通・空家・福祉の事例・意見交換を行った. ②現状把握として,8つの自治会の会長と移住者を対象に,自治会・自主防災・福祉・移住者対応などのまちづくり活動歴と,自治会内の独居世帯・5-10年後に空家の可能性がある建物・現空家について少人数で,参加者が地図に書き込む形のワークショップを開催. ③移住者交流会を開催し, 移住経緯や現在の暮らしとまちづくり活動の情報交換を実施. ④担い手の役割確認として,上記の成果と過去の景観まちづくりの経緯を含めて申請者が報告し、まちづくりの担い手(住民・NPO・桜井市・奈良県・専門家)と共有した(大和・空家バンクネットワーク主催の研修会). その結果,移動の多い行政職員やまちづくりに関心のある移住者から,「初瀬のまちづくりの歴史・現状・数年後の未来について考え,役割と方向性を理解することができた」という意見を得た.さらに,空間的な地域資源整備に向けて,桜井市と早稲田大学都市・地域研究所と研究協定を結ぶことに繋がった。 これにより,市民による公益的な事業の必要性を空間的・人的に把握することができ,過去の実績を活かし今後も活動を積み重ねやすい状況をつくることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全地区のリーダー層と移住者の調査を予定していたが,移住されて間もない方や日程調整, 調査不十分な項目があること, 当初計画していた論文投稿が遅れている為。その他は,おおむね当初の計画通り,各区の現状把握を行い,住民や県や市の関係者へ過去の活動を含めたフィードバックを実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画の変更点としては,①平成26年度の成果報告を住民に対し再度実施すること,同時に②不足情報を補うこと,平成27年度の計画である,③初瀬地区に必要な「まちづくり市民事業」の枠組み・ニーズや担い手を抽出するワークショップを、地元NPO・桜井市・早稲田大学都市・地域研究所と協力して調査研究を遂行する。
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