研究課題/領域番号 |
26750015
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
長岡 大樹 富山大学, 芸術文化学部, 助教 (20456403)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 民家 / 枠内造 / 指物 / 指鴨居 / せい / 木造架構 / 富山 / 越中 |
研究実績の概要 |
2015年度(研究2年目)の研究実績は次の3点である。 ①2014年度(研究1年目)に実施した実測調査記録(富山県内の枠内造の民家約40軒分)の整理・分類した。 ②「指物(指鴨居)」は枠内造の構成要素である。指物のせい(高さ)から民家のおよその建築年を推定できることが昨年度の研究で明らかとなった。今年度は、全国の建築年が判明している民家を対象として「指物のせい」の時代的変遷と一般的傾向を詳細に検討した。 ③関連調査および追加調査として下記の住宅を実測調査した。 八郷の里(鳥取県伯耆町・2015/5/2)、鳥飼家(鳥取県倉吉市・5/5)、喜多家(石川県野々市市・5/30)、旧折目家(徳島県貞光町・6/30)、永井家(徳島県貞光町・6/30)、三島家(岐阜県高山市荘川の里・7/25)、山下家(岐阜県高山市荘川の里・7/25)、宝蔵寺庫裏(岐阜県高山市荘川の里・7/25)、高木家(石川県金沢市・8/1)、中西家(大阪府守口市・8/20)、浮田家(富山県富山市・8/22)、高橋家(長野県松本市・8/30)、寺島家(石川県金沢市・9/1)、山口家(大阪府堺市・9/2)、清学院(大阪府堺市・9/2)、中家(大阪府熊取町・9/4)、岡田家(兵庫県伊丹市・9/26)、孤篷庵(京都市北区・9/29)、室堂小屋(富山県立山町・10/10)、鈴木家(和歌山県金屋町・10/12)、長谷川家(新潟県越路町・11/5)、坪川家(福井県坂井市・11/28)、木下家(福井県勝山市・11/28)、棚田家(富山県高岡市・12/9)、土肥家(茨城県ひたち海浜公園・12/17)、かず良(旧酒井家・富山県南砺市・12/21)、佐渡家土蔵(富山県高岡市御車山会館・2016/2/19)、瀧澤家(京都市左京区鞍馬本町・2/21)、筏井家(富山県高岡市・3/12)、中崎家(茨城県水戸市・3/26)、弘道館(茨城県水戸市・3/27)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していなかった「指物のせい」に関する研究を実施したので研究が遅れている。 指物は枠内造の主たる構成要素である。2014年度(1年目)の実測調査から、富山県内の民家は建築年が判明している民家が少ないこと、および建築年代が新しい家ほど・家格の高い家ほど「指物のせい」が高くなる傾向が明らかとなった。本研究の目的は、枠内造の時代的変遷を明らかにすることである。そのため建築年代がおよそでもわかっている対象民家を増やす必要がある。「指物のせい」は建築年代を推定するうえで重要な指標となりうるので、指物のせいの一般的傾向と時代的変遷を明らかにしようと試みた。1年目の研究終盤には全国の主要な民家を対象にして分析をおこない、2年目の2015年度には全国の建築年が判明している民家を可能なかぎりたくさん収集し分析をおこなった。現在、指物のせいの一般的傾向と時代的変遷が明らかとなったので、その成果を論文にまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度(2年目)の研究で「指物のせい」の一般的傾向と時代的変遷が明らかとなった。その結果、2014年度(1年目)に実測調査した民家のうち、建築年が不明であった民家のおよその建築年代を推定できるようになった。2年目の研究で建築年を推定する指標が得られてこともあり、2016年度(3年目)の研究では「枠内造の時代的変遷」を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、研究計画変更(研究遅延)にともない補助事業期間を1年度延長したためである。研究計画の変更内容は、当初予定していなかった「指物のせい」に関する研究をおこなったことである。この研究に想定以上の時間を要したので研究遅延が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果をまとめた論文の投稿料にあてる予定である。
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