| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、知的障害者グループホームにおける室内温熱環境や知的障害者の体温調節行動の実態を把握し、それらが知的障害者の健康性に与える影響度を明らかにすることである。研究最終年度にあたる平成28年度は、予備実験や世話人や職員等に対するヒアリングの結果をふまえて、ケーススタディと郵送アンケート調査を実施した。また、前年度までの研究成果について学会発表を行った。ケーススタディでは、中国地方にあるグループホーム3件（居住者は計13名）を対象とし、夏期と冬期の2回、各居住者の個室（寝室）・リビング・ダイニング・屋外の温熱環境測定を実施した。また、就寝時間帯に居住者の呼吸・脈拍・体動を測定し、それらのデータを用いて睡眠・覚醒判定を行った。そして、世話人に血圧測定や健康状態、各居住者に対する支援内容及びそれらが行われた時間帯などの記録を依頼した。アンケート調査では、全国のグループホーム1,000件に調査票を郵送配布し、410票の回答があった（回収数41.0％）。調査内容は、居住者の体温調節行動の自立度、冷暖房の使用状況、健康や睡眠の状況、GHの建物種別や平面構成、住まいの環境と健康性の評価（CASBEE健康を使用）などであった。調査の結果、体温調節行動に関して多くの居住者が何らかの介助を要することがわかった。また、住まいの健康性が高いほど、体温調整行動の自立度は高く、冬季に居住者が風邪をひく頻度が少ないことなどが明らかとなった。
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