研究課題/領域番号 |
26750020
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研究機関 | 社会福祉法人敬友会(高齢者住宅研究所) |
研究代表者 |
志垣 智子 社会福祉法人敬友会(高齢者住宅研究所), その他部局等, その他 (00722513)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 災害弱者 / 居住環境 / 高齢者住宅 / 人間被害 |
研究実績の概要 |
平成27年度は平成26年度に引き続き、(1)既に実施済みの予備調査に基づく多面的整理・分析(居住環境の現況分析)(2)居住環境改善指針案作成のための本調査の実施と結果の整理・分析を行った。 既往研究から地震時における人間被害は地震の揺れの最中・直後が最も危険度が高いと言われている。居室内の居住空間の安全性を確保することが人間被害低減に寄与するといえる。家具散乱・転倒の割合が高いキッチンの有無とタイプ(キッチン無、キッチン廊下型、キッチン寝室型、キッチンD内)を指標とし、図面分析を行った。すなわち、2012年12月末日開設済みのサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住と記す。)を対象に「住替えの住まい」としての機能評価(948棟/2055棟対象・回収率46%。アンケート・契約書・平面図・登録事項説明書等・パンフレットを回収)から回収されたアンケート・平面図等に基づいて現在のサ付き住宅の居住環境を分析し、サ付き住宅の地震による人間被害に基づく居住環境の実態をキッチンの有無・タイプと入居者の要介護度によって明らかにした。 さらに、2011年東北地方太平洋沖地震で震度6弱以上を観測した岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県(市単位)で、津波の影響を受けなかった内陸部に位置するサ高住を対象に直接的かつ間接的・波及的な人的被害実態調査を行う。地震発生「当初・最中・直後、発災後~3日、それ以降」の時間軸と人間属性と被害(外科系・内科系疾患の有無とその増悪)、住宅の被災度、高齢者の安否確認の方法とその実施者の属性、避難方法、避難生活の実態、被災経験による居住環境の改善の有無等についてヒアリング調査(11住宅事業所)を行った。その結果、建物自体に被災はないものの、長期的な避難生活においては地域住民、地域の他事業所との日常からの連携が生かされたこと、また震災を契機に地域との交流が生まれた等が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災における内陸部に位置する高齢者賃貸住宅では室内被害、建物被害が相対的に小さかったこととから人的被害に係る居室内の指標を抽出することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
2016年熊本地震によって被害のあった事業所(キッチン廊下型、キッチン無、キッチンD内の3タイプ)にヒアリング調査(3事業所)を行い、人的被害に係る居住環境指標を抽出する。被害実態から裏付けられた指標に基づいて、居住環境改善指針案の項目の妥当性評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は次年度分を前倒しして予算計上したため、差額が生じたものと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
差額はもともと次年度の予算であるため、引き続き計画通り最終年度で使用する計画である。
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