ホエイタンパク質を酵素分解した分解物には、消化吸収性の向上やアレルゲン性の低減など様々な機能をもつものがあり、多くの食品に利用されている。しかし、苦みなどの不快味や不快な匂いによる嗜好性の低下が問題となっている。 タイムやセイロン紅茶葉の揮発性画分は、ホエイタンパク質分解物の不快な風味を改善させる効果を有しており、その有効成分としてリナロールが特定された。リナロールは、検知閾値でホエイタンパク質分解物の不快な風味を有意に改善するが、ノーズクリップをして鼻腔に匂いが流入しない状態では風味への影響は見られなかった。このことから、リナロールの風味改善は味覚と嗅覚の相互作用によるものであると考えられた。
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