研究課題/領域番号 |
26750030
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
森下 元賀 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 講師 (60541612)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 嚥下障害 / 炭酸飲料 / 嚥下音 / 摂食嚥下リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本年度は嚥下障害のない高齢入院患者に対する炭酸飲料嚥下後の持続効果の測定および軽度嚥下障害患者に対する炭酸飲料嚥下時の動態の測定を行った。 炭酸飲料嚥下後の持続効果の検証は、5, 10, 20, 30mlの炭酸飲料を嚥下した後に1分ごとに5mlの水道水を嚥下した際の嚥下改善持続効果を喉頭運動、舌骨上筋群の筋電図の計測によって行った。その結果として、30mlの炭酸飲料を嚥下した後には5分にわたって嚥下改善効果の持続が確認された。その他の嚥下量に関しては持続効果はほとんど確認されなかった。 軽度嚥下障害患者に対する炭酸飲料嚥下時の動態の測定は、嚥下音の音響解析を用いて、健常若年者との反応の違いおよび水道水の嚥下動態との違いを検証した。対象は3mlの水を誤嚥することがあるものの、呼吸状態、酸素飽和度には変化がない程度の嚥下障害患者を対象とした。その結果として、健常若年者と比較して水道水では嚥下音の高周波域が高いレベルにあり、咽頭残留があるものと確認できたが、炭酸飲料嚥下時には健常若年者と差がないレベルとなった。このことから、炭酸飲料は嚥下時の咽頭残留や喉頭進入を軽減できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、今年度に嚥下障害のない高齢患者の嚥下動態と嚥下改善持続効果の検証を行う予定であったが、概ね予定通りに進行しており、軽度嚥下障害患者への研究にも着手できている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は炭酸飲料嚥下後の持続効果の検証の方法として、喉頭運動と筋電図によって行ったが、今後は嚥下音の音響解析を用いてより詳細な検証を行っていく予定である。また、嚥下時の動態に関しても当初の予定のように、誤嚥に配慮した上で嚥下障害の程度に応じた変化を検証していく。今後は炭酸飲料による嚥下練習が嚥下障害の改善に寄与するのかを明らかにするために、先行研究のプロトコールにしたがって、長期的な介入効果を検証し、摂食嚥下リハビリテーションに適応可能かを明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は嚥下音の音響解析を現有のデータ集積システムによって行ったが、詳細な音響解析ソフトでの解析を行うための機器が用意出来なかった。したがって、ソフト自体の購入も遅れたため、次年度に購入する運びとなった。また、国際学会への参加費が必要となったために前倒し請求を行ったが、結果的に音響解析ソフトの購入が行えなかったために、参加費の支払いを行っても残額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は音響解析ソフトの購入、および嚥下障害患者に対する介入効果の検証のための臨床施設までの出張費、成果の公表のための出張費、出版関連費に使用する予定である。
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