研究課題
エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)が有する血清中性脂肪低下作用の分子メカニズムを明らかにするため、EPAとDHAが脂肪酸の合成に関与する転写因子であるCarbohydrate response element-binding protein (ChREBP)の活性に与える影響について検討した。その結果、EPAとDHAともにChREBPの活性を減少させることを明らかにした。また、EPAとDHAはChREBPの細胞内タンパク量を減少させることを明らかにした。これらの結果から、EPAとDHAはChREBPの分解を亢進することにより活性を減少させ、血清中性脂肪を低下させることが示唆された。次に、EPAとDHAがChREBPの分解を促進するメカニズムを明らかにするため、ChREBPの分解機構について検討を行った。プロテアソーム阻害剤であるMG-132処理ではChREBPの細胞内タンパク量に変化が見られなかったのに対して、リソソーム機能阻害剤であるクロロキンや塩化アンモニウム処理ではChREBPの細胞内タンパク量が増加することを明らかにした。また、オートファジーを亢進するレスベラトロール処理によりChREBPの細胞内タンパク量が減少することを明らかにした。以上の結果から、ChREBPの主要な分解経路は、ユビキチン・プロテアソーム経路ではなく、オートファジー・リソソーム経路であることが示唆された。そこで、クロロキン処理によりChREBPの分解を阻害した際のEPAの効果について検討した結果、EPA単独処理で見られたChREBPの細胞内タンパク量と転写活性の減少が、クロロキンを同時処理することにより消失することを明らかとした。以上の結果から、EPAとDHAはオートファジーを亢進することによりChREBPの分解を促進し、血清中性脂肪を低下させることが示唆された。
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