研究課題
本研究は、食行動の基本原理を解明するため、その基盤となる精密な脳内の味覚地図を単一味覚ニューロンの解析を通して作成することを目標としている。平成27年度は、「大脳皮質味覚野に入る単一味覚ニューロンを同定および可視化」を行った。○「大脳皮質味覚野に入る単一味覚ニューロンを同定および可視化」:ラット視床における単一味覚ニューロンの同定に先立って、視床の味覚関連部位からの投射を順行性トレーサーによって確かめた。その結果、視床の味覚関連部位の oval paracentral thalamic nucleus は、caudate putamen (CPu) 腹正中部に、parafascicular thalamic nucleus 腹外側部は、CPu 腹外側部に、central medial thalamic nucleus 尾側部、parafascicular thalamic nucleus 腹内側部、および retroreuniens area は、CPu 腹内側部に投射することが明らかとなった。これらの結果とは対照的に、parvicellular part of the posteromedial ventral thalamic nucleus は、interstitial nucleus of the posterior limb of the anterior commissure 尾側部に投射していた。以上の結果は、Neuroscience 誌 (vol. 294) に掲載された。また、現在、同脳部位において、形態学的手法と電気生理学的手法を組み合わせて、単一味覚ニューロンの同定および可視化を進行させている。
2: おおむね順調に進展している
視床味覚関連部位からの形態学的手法による投射範囲の同定は終了している。大脳皮質味覚野に入る単一味覚ニューロンの同定および可視化は進行中であり、当初計画通り、おおむね順調に進展している。
今後は、大脳皮質味覚野に入る単一味覚ニューロンを同定および可視化を進行させるとともに、当初計画通り、得られた研究データから、ニューロンの再構築像の作製および軸索が分布する大脳皮質領域の解析を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
Neuroscience
巻: 294 ページ: 1-13
doi:10.1016/j.neuroscience.2015.02.045
Evolution & Development
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