研究課題/領域番号 |
26750049
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
川上 祐生 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (30453202)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リポキシゲナーゼ / 抗アレルギー作用 / 食品 |
研究実績の概要 |
近年、アレルギー疾患の罹患率は増加しており、その対策は重要な課題である。本研究では、アレルギー疾患に関わる生理活性脂質であるロイコトリエンの合成系に注目した。ロイコトリエンの合成系の酵素である5-リポキシゲナーゼを阻害できる機能性食品成分を同定し、その成分の抗アレルギー作用を明らかにすることで、食品によるアレルギー疾患の予防と食品の新しい活用法の開発の実現を目指すことを目的とした。 昨年度までの研究において、香辛料の1つであるナツメグに比較的強い5-リポキシゲナーゼ阻害効果を認めた。5-リポキシゲナーゼを発現しているラット好塩基球性白血病RBL-2H3細胞を用い、細胞内での5-リポキシゲナーゼに対する阻害効果についても確認した。そこでナツメグに含まれる5-リポキシゲナーゼ阻害成分を明らかにするために、逆相HPLCを用いて阻害成分の分画を行い、阻害成分を単離、精製した。1H-NMRおよび高分解能マススペクトロメトリーを用いた各種スペクトル解析の結果、ナツメグに含まれる5-リポキシゲナーゼ阻害成分を同定した。5-リポキシゲナーゼは、5-ヒドロキシ脂肪酸をロイコトリエンA4に変換する反応も触媒するが、ナツメグに含まれる5-リポキシゲナーゼ阻害成分はこの反応についても阻害した。この阻害成分の動物での作用を調べるために、ナツメグから効率的に抽出、精製する方法を検討しているところである。 今後は、ナツメグに含まれる5-リポキシゲナーゼ阻害成分の大量調製法を確立するとともに、モデル動物を用いた抗アレルギー作用について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、気管支喘息などのアレルギー疾患における強力な炎症性脂質メディエーターであるロイコトリエンの生成に関わる5-リポキシゲナーゼを抑えることにより抗アレルギー作用がもたらされることを期待し、研究を進めている。平成27年度では、ナツメグに含まれる5-リポキシゲナーゼ阻害成分を同定することができ、その阻害成分の5-リポキシゲナーゼ阻害効果を酵素レベルと細胞レベルで確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在進めている5-リポキシゲナーゼ阻害成分の大量調製法を確立させ、動物実験で抗アレルギー作用を確認する。さらに、阻害成分の類縁化合物の酵素阻害効果について調べ、阻害成分の構造と阻害効果の関係について明らかにし、その阻害メカニズムを探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度にモデル動物を用いた実験を計画しているため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
モデル動物を用いた動物実験を行うために使用を計画している。
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