研究課題/領域番号 |
26750051
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研究機関 | 東北女子大学 |
研究代表者 |
西田 由香 東北女子大学, 家政学部, 教授 (40435053)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 時間栄養学 / 摂食時刻 / 高砂糖食 / インスリン / 血糖値 / 肝臓中性脂肪 |
研究実績の概要 |
単糖類や砂糖の過剰摂取は,急激な血糖上昇を誘発し,耐糖能異常や食事誘発性脂肪肝の危険因子となる。糖尿病や脂肪肝の発症予防と糖質の摂取タイミングの関係を検討するため,砂糖の過剰摂取時刻を変化させて食後の血糖上昇や肝臓の脂肪蓄積への影響を調べた。実験動物(ラット)を用い,9:00~21:00を暗期(活動期)とする12時間明暗サイクルで飼育した。食餌時刻は1日3回(9:00,14:00,19:00)とした。3回のうちいずれか1回の食餌で1日の半分に相当するエネルギー量を高砂糖食として過食させ,残り半分の栄養量は低砂糖食で2回に分けて与えた。コントロール群は,1日の合計栄養量と組成は同一のまま,砂糖を3回の食事で均等に与えた。 体重および体脂肪量は砂糖の摂取時刻の違いによる差がなかった。1日の摂取エネルギー量を統一したことで,見かけの体重や体脂肪量に変化は生じなかったと考えられる。しかし,1日3回の食事のうち,いずれか1食に高砂糖食を摂取すると,3食均等に砂糖を摂取したコントロール群に比べて血中グルコースとインスリンが有意に増加した。高砂糖食の摂取時刻の違いによる差は認められなかったことから,砂糖の過食は時刻に関係なくインスリン抵抗性を誘発すると考えられた。また,高砂糖食を活動期後半に摂取すると,活動期前半に比べて肝臓中性脂肪が有意に増加した。砂糖の過食時刻の違いによって,糖尿病や脂肪肝の発症リスクは変化する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル動物の摂食条件の設定において,摂食量を厳密に管理することの重要性が明らかとなった。時間帯によって嗜好や食欲が異なる可能性があり,毎回の食餌量に十分な注意を払わなければ,実験期間中の摂食量に差が生じる。時間栄養学研究において,摂取時刻やタイミングの影響を明確にするために,摂取量を統一する手順を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はヒトを被験者とする実験を行う。尿中成分を指標としたミネラル代謝の時間栄養学に着目し,高塩食の摂取時刻の違いによる尿中ナトリウムやカリウム排泄リズムへの影響を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物の回数と匹数を調整し,消耗品や試薬類の使用量を最小限にとどめた。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒト試験導入に伴う実験器具類の新規購入や消耗品類の整備に充当する。
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