本研究課題は、食環境と世帯環境が食物摂取状況にどのように関連するか明らかにすることを目的として実施した。本研究は、18~22歳の大学生165名を対象として食環境と個人的要因が食物摂取状況(野菜・果物に着目)にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的とした。個人的要因に関する項目は、食事の満足度、共食頻度、朝食摂取状況、食事づくりの頻度、よく利用する店舗、栄養に関する会話、健康への配慮、栄養成分表示の活用、調理担当者の9項目を個人的要因と定義して自記式質問票を用いて評価した。主観的な食環境は、店舗までの移動手段、店舗までの移動時間、食費のゆとり、世帯状況、買い物のしやすさの5項目を主観的な食環境の要因として定義して自記式質問票を用いて評価した。近隣の食環境は対象者の住所から半径500m以内にある12種類の食料品の店舗数の合計で評価した。地理情報システムの解析にはArcGISを用い、店舗情報はタウンページデータベースを利用してアドレスマッチングを行った。食物摂取状況は、食物摂取頻度調査法を使用して過去1~2ヶ月程度の期間の野菜と果物の摂取量を評価した。本研究では、近隣の食環境は野菜・果物摂取量と有意な関連が認められず、食費のゆとりといった経済状況や、食事づくりの頻度や健康への配慮などの個人的要因に有意な関連が認められた。その他の項目に有意な関連は認められなかった。今後、対象者数を増やして、マルチレベル分析を行っていく予定である。
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