がん患者におけるサプリメントと経口抗がん剤によるリスク回避を目的とし、ヒト小腸株化細胞を用いて、経口抗がん剤処理後の免疫ペプチドの発現変動と栄養輸送トランスポーターとの関連について評価を行った。 これまでの研究により、一部の経口抗がん剤を曝露することによって、腸管免疫の低下が引き起こされることを明らかにしている。平成26年度の研究においては、経口抗がん剤曝露が栄養輸送トランスポーターの発現に与える影響について評価を行った。栄養素および薬物双方の吸収に関与する有機アニオン (OATP)およびモノカルボン酸トランスポーター(MCT)に着目し、経口抗がん剤曝露によりOATPおよびMCTのmRNA発現が変動することを見出した。さらに、免疫ペプチドとトランスポーターの関連を確認するため、ヒト小腸株化細胞の免疫ペプチドをsiRNAによりノックダウンし、トランスポーター発現への影響を評価した。腸管免疫物質をノックダウンすることにより、OATPおよびMCTのmRNA発現に影響を及ぼすことが明らかにした。このことから、免疫ペプチドが腸管トランスポーターを制御する可能性が示唆された。
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