膵癌と糖尿病の関連性は認められているが、明確な因果関係は不明である。糖尿病血管合併症など生活習慣病に強く関与する、毒性終末糖化産物に(Toxic AGEs, TAGEと命名)が癌と関連することに着目し、TAGEが膵癌の発展・増悪を促進しているという仮説を立てた。TAGEの原因物質である果糖/ブドウ糖代謝中間体グリセルアルデヒド(GA)を、膵管癌のモデルである膵管癌由来の培養細胞PANC-1に添加する実験により、細胞内にGA取り込まれるGA濃度の上昇とともに、細胞内TAGEの生成/蓄積量が増加することが明らかとなった。また、癌の浸潤や細胞死に関連する蛋白質にも異常が起きることがわかった。
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