研究課題/領域番号 |
26750057
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
坂本 達昭 仁愛大学, 人間生活学部, 講師 (80710425)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Quality of life / 児童 / 生徒 / 給食の楽しさ / 給食の食べ残し / 共食頻度 / 家の食事の楽しさ |
研究実績の概要 |
本研究においては,児童生徒の“学校生活や家庭の楽しさや健康生活といった生活の質(Quality of Life: QOL)”と望ましい食習慣・食態度(例えば,「朝食を毎日摂取すること」,「家族そろって食事をすること」,「給食を残さず食べること」や「楽しく食事をすること」など)の関連性を明らかにすることを目的としている。 昨年度は,福井県内の小学校9校の5年生607名を対象として,“学校生活や家庭の楽しさ・健康生活と言った生活の質”と食習慣・食態度との関連性を検討した。昨年度の研究成果は,以下のとおりである。 1)給食の完食状況および給食の楽しさとQOLの関連 男子においては,給食を残さず食べている児童は,給食を残すことがある者に比べて,QOL総得点が有意に高かった。一方,給食の時間をとても楽しいと感じている児童は,男女ともにQOL総得点が有意に高かった。給食がとても楽しいと感じていることは, QOLの良好さと関連していることが示唆された。 2)朝食および夕食の家族との共食頻度および家の食事の楽しさとQOLの関連 共食頻度が高くても(週4日以上),家での食事が楽しいと感じていない児童は,QOL総得点が低かった。一方,家族との共食頻度が低くても(週3日以下),家の食事が楽しいと感じている児童は,QOL総得点が良好であった。共食頻度に関わらず,家の食事を楽しいと感じていることがQOLの良好さに関連していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は小学校5年生を対象として調査を実施し,その結果を解析し一定の成果を残すことができた。しかしながら,中学生を対象とした調査は,同時期に十分な対象生徒数を確保できず実施できなかったため,研究がやや遅れていることは否めない。 今年度は,対象中学校とスケジュール調整を綿密に行い,9月から10月にかけて調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究からは,給食時間が楽しいと感じている児童ほどQOLが良好であること,家族との共食頻度に関わらず家の食事が楽しいと感じている児童ほどQOLが良好であることを明らかにすることができた。今年度は,中学生を対象として,食習慣とQOLの関連性,食事を楽しいと感じる要因について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,質問紙調査のデータ入力のために人件費を計上していた。しかし,データ回収時期が対象校ごとに分散していたことに加え,学部学生の協力者を確保できたことからデータ入力およびデータ確認作業を,委託せずに行なうことがでた。そのため,当初よりも支出額が少なくなり,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年9月頃に実施予定の中学生を対象とした調査とその分析の行程において,通信費,諸経費,人件費として支出する予定である。また,これまでの研究成果は,2015年9月に福岡で開催される栄養改善学会(要旨登録済),同年11月に長崎で開催される公衆衛生学会において発表する予定である。さらに,同年10月には香港で開催される第3回APHPE(アジアパシフィックヘルスプロモーション健康教育国際会議)にて,2014から2015年度の研究成果を報告する予定である。これらの学会発表に必要な参加費,旅費,宿泊費に支出する予定である。 研究成果は,随時論文として投稿する。論文投稿に必要な査読料や英文校正のための経費としても支出を計上している。調査結果をリーフレットとしてまとめ,調査協力校の教諭,栄養教諭,児童生徒の保護者に研究成果を還元する。そのための印刷費用や研究成果をWebにて公開するための経費を計上している。
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