研究課題
大豆イソフラボン成分併用添加は、相乗的な抗腫瘍効果を示し中でも、ゲニステインとエクオールの併用添加が最も強く、特にエストロゲン受容体陽性細胞で効果が著しいことを平成26年度に発表した。この実験結果を踏まえ、平成27年度はゲニステインとエクオール併用添加による詳細な分子機序の解析を行うと同時に、エチルメタンスルホン酸誘導性乳癌モデルラットに対し、ゲニステインとエクオールの腫瘍形成に対する効果を検討した。併用添加による分子機序解析では、相乗的なアポトーシス誘導はBax/Bcl-xl比の増加によるものが大きく、Akt-mTORシグナルは変化しないことが判明した。さらに、Bax/Bcl-xl比の増加は時間依存性であり、アポトーシス誘導の経時変化と一致した経口であった。乳癌モデルラットを用いた実験では、ゲニステイン単独投与と比較して、ゲニステインとエクオールの併用添加は有意な腫瘍形成抑制効果を示さなかった。しかしながら、形成腫瘍重量は併用添加群が有意に低く、異型性も低かったことから、腫瘍形成後の増殖、浸潤などについて抑制的に働くのではないかと考えられた。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、大豆イソフラボン構成成分の予防機序を明らかにするために、ヒト乳癌細胞株を用いて、単独あるいは併用添加による分子機序を解析するとともに、乳癌発症モデル動物で検証することにより、乳癌発症予防機序を明確にし、臨床応用へ発展させることが目的である。平成27年度は平成26年度の研究結果に基づき、ゲニステインとエクオールの併用添加により起こる相乗的なアポトーシス誘導についてメカニズムを解析し、主要メカニズムはBax/Bcl-xl比の上昇であることを発表した。また、乳癌モデルラットを用いたゲニステインとエクオールの併用投与による効果を検討したが、腫瘍形成抑制については有意な効果が示されなかったものの、腫瘍形成後の増殖抑制効果については併用投与は有益に作用している可能性が示唆された。
主要癌遺伝子を導入した細胞に対してゲニステインとエクオールの併用添加による効果を検証し、分子メカニズムを解析する。
研究計画どおり使用したが残金が発生した
平成28年度に使用する
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
International Journal of Cancer
巻: in press ページ: in press
-
THE ENZYMES
巻: 37 ページ: 140-160
10.1016/bs.enz.2015.06.002