研究課題/領域番号 |
26750066
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
森 玲奈 帝京大学, 高等教育開発センター, 講師 (70588087)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サイエンスカフェ / 科学教育 / 学習環境デザイン / 対話型イベント / サイエンスコミュニケーション |
研究実績の概要 |
サイエンスカフェは、サイエンスコミュニケーション及び科学教育の手法として、近年日本でも注目されている。中村(2008)は、日本でサイエンスカフェが広く知られる契機となったのは『平成16年版科学技術白書』であると述べ、大学としての取り組みは2005年の東北大学による全学的な実践が最初であるとしている。同2005年、北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニットでは、実習授業の一環としてサイエンスカフェの企画・運営が取り入れられている。大学が主催するサイエンスカフェの場合、研究者と一般参加者との対話型学習環境をデザインすることにその特色がある。 社会的なニーズの高まりに対応するため、サイエンスカフェの企画・運営に関する実態調査と実践者育成に関する知見の提出が急務である。サイエンスコミュニケーターは多く輩出されており、サイエンスカフェの実践現場でも活躍している。しかし、サイエンスカフェを大学で継続的に実践していくためには、人材育成と同時にカフェ運営そのものの持続可能なエコシステムを確立していく必要がある。現状では人材育成についての取り組みに偏っており、サイエンスカフェのエコシステムについて、十分な検討がなされていない。また、カフェイベントの企画及び運営について、その実践知を体系的に調査した知見は無い。現状では、実践事例の報告やケースごとの評価などは行われているものの、実践者育成において片手落ちの状態である。 2014年度は、国内におけるサイエンスカフェの実施状況を調査した。具体的には、「サイエンスポータル」(http://scienceportal.jp/)を活用して調べた。対象期間は、2013年10月~2014年6月までである。主催情報を整理し大学が主催しているものを絞り込んだ。2015年度は、サイエンスカフェを主催している大学の機関に、質問紙を郵送し調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2014年度は、サイエンスポータルを活用し対象大学を絞り込むところまでを行った。しかし、研究代表者は所属を9月に変わったことで、インターネットへのアクセスを含む環境が整わず研究活動が転任後停滞した。方法上の躓きは無いため、2015年度に計画通り進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「サイエンスポータル」(http://scienceportal.jp/)から選出されたサイエンスカフェのうち主催が大学である場合を抽出済みである。これら全ての実践団体に対し、電話及び電子メールにて質問紙送付に関する事前連絡を行う。その際、企画・運営に関与する実践者の数を確認する。(質問内容:①実践開始年月、②実践の開催周期、③企画・運営者人数、④企画・運営者の大学との関係性、⑤ボランティアの有無、⑥サイエンスカフェの対象層、⑦サイエンスカフェ実施の目的、⑧開催に至る経緯、⑨運営体制の変化、⑩企画・運営上抱えた問題、⑪企画・運営上抱えた問題の解決方法、⑫実践者育成の方法) (2)実践団体宛に、実践者の人数分と予備も含めた質問紙を郵送する。 (3)実践団体からの質問紙返送が遅い場合には、電話及び電子メールにて改めて調査協力を依頼する。 (4)質問紙調査の結果からモデルごとに特異な事例を対象にサイエンスカフェの実践団体を選定し、その実践団体に参与する実践者に対しインタビュー調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査(郵送)が2014年度に実施できなかったため、使用金額が変わった。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に質問紙調査(郵送)を行うことで使用する。
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