研究課題/領域番号 |
26750068
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
安田 淳一郎 山形大学, 基盤教育院, 准教授 (00402446)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 物理教育 / 科学教育 / 教育評価 / 教育指標 / 妥当性評価 / 力学概念調査 |
研究実績の概要 |
1.力学概念指標(Force Concept Inventory, FCI)の部分設問群の妥当性を評価し、研究論文として出版した。 本研究課題は、前研究課題から継続的に取り組んでいるものである。そのため平成26年度は、前研究の調査データを本研究課題の目的に基づいて再分析することから始めた。具体的には、部分設問群の妥当性評価を目的として、調査した大学間で、部分設問群を用いた分析結果にどのような違いが見られるかを調べた。その結果、調査したFCIの設問すべてについて、分析結果に大学間の違いは見られず、部分設問群を用いた分析に一定の妥当性があることが確認された。このほか、前研究の未公表成果も合わせて論文としてまとめ、「物理教育」誌から出版した。 2.FCIの系統誤差を分析し、国際会議で発表した。 これまでの研究では、判明した不備がFCI総得点に与える影響を定量的に評価することができていないなどの問題点があった。そこで我々は、設問の不備を定量化して系統誤差として表現し、FCIの妥当性を評価することを試みた。具体的には、FCIの単純な正答率を「生の得点」、部分設問群の正答率を考慮したFCIの正答率を「真の得点」とし、それら2変数について回帰分析を行った。分析においては、線形近似、および健全な設問の一様性を仮定した。その結果、偽正答による系統誤差はFCIのクラス平均値に30%以上の補正を与えることが明らかになった。さらに、この補正が平均規格化ゲインに与える影響を分析した結果、同ゲインは線形変換の下で不変であるため、同ゲインへの系統誤差からの補正は、近似の2次以上の項から与えられることが明らかになった。この成果は、物理教育国際会議(International Conference on Physics Education, ICPE)2014で公表し、国際的に理解されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度においては、研究の目的で示した「部分設問群の妥当性評価」および「系統誤差の複合的な変数への影響評価」について、公表可能な段階の成果が得られた。実際に、「部分設問群の妥当性評価」については論文として公表し、「系統誤差の複合的な変数への影響評価」については国際会議で発表するなど、それぞれの成果について公表を遂げた。さらには、平成27年度においても、4月初旬に調査をすでに済ませ、現在分析に着手している。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、4月初旬に調査をすでに済ませ、現在分析に着手している。この分析においては、系統誤差の特性評価を行い、さらには、FCIの不確実さを取り込んだ教育効果分析法について検討する予定である。この成果は、研究論文として、Physical Review ST Physics Education Researchに投稿することを予定している。
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