研究課題/領域番号 |
26750080
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
荻野 哲男 神戸大学, 情報基盤センター, 助教 (70448166)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / 情報教育 |
研究実績の概要 |
教育用プログラミング実行環境「ますめ」に関して,(1) 機能設計 (2) 授業実践の計画と実施 (3) 操作履歴の分析,を行った.機能設計としては,プログラムからキャンバスエリアに直接描画が行える機能の追加や,セルの値を縦方向に一括してコピーできる機能の追加,および,動作の安定性にかかる実行環境フレームワークの構造の改善などを行った. また,授業実践を行うため,「ますめ」を用いた教材の開発を行った.この教材は,高等学校における教科「情報」で利用することを想定しており,「ますめ」の使い方から始まり,プログラミング例題による実演と,自分で試行錯誤する発展課題を含んだもので,4時間程度の内容である.それまでの経験を踏まえ,教材にゲーム性を持たせる必要があると考え,等速直線運動や斜方投射の運動シミュレーションに加え,跳ね返りによって運動にランダム性を付加するなどの工夫を施した. 最後に,京都市の高等学校にて授業実践を行い,そこで操作履歴の収集や生徒へのアンケートを実施した.操作ログを再生することで,学習者の躓きの原因を知ることができ,初学者のプログラミングでは,スペルミスなどの簡単な躓きが,全体の達成度に大きな影響を与えていることが分かり,構文ミスやスペルミスをリアルタイムに教師に通知する方法について検討を進める必要があることが分かった.また,本件について,日本教育工学会の研究会にて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,教育用プログラミング実行環境「ますめ」を用いて,学習者の操作をすべて記録し,再生・分析する機能を実装することで,教師への支援を実現することである.「ますめ」への継続的な機能設計や実装を行い,高等学校における授業実践によって,学習者の操作履歴の収集に成功し,その分析によって教師に必要な支援を具体的に提示することができた.また,本研究に関して,日本情報科教育学会および日本教育工学会にて発表を行い,日本情報科教育学会第7回全国大会では,優秀実践賞を受賞するなど評価を受けている.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の結果を受け,教育用プログラミング実行環境「ますめ」に対し,構文ミスやスペルミスをリアルタイムに教師に通知する方法について検討を進め,実装を行う.通常,ブラウザ間の Peer to Peer 通信については,セキュリティー上制約も多く,サーバを経由した通信を試みる予定であるが,パフォーマンスについて問題がある場合,動作環境が限定される問題があるものの,ブラウザ間の直接通信も検討する. また,授業実践を継続的に実施し,操作履歴の分析を続けるとともに,プログラミング教育の内容についても,生徒が興味を持ち自発的に試行錯誤するような教材の開発を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品の為替レート変動に基づく価格変更や,研究資材の搬送が必要になるなどによって差額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
助成金については,研究資材の搬送費などに使用する予定である.
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